同じお題で AI を比べる 第11回
アニメ調の動画に強い AI はどれ? 同じ 1 枚絵を 5 モデルで動かした

この記事でわかること
- セル画風と水彩の 1 枚絵を 4 秒動かし、絵柄が保たれたかを数えた
- 差が出たのは絵柄より、物の増減・カメラ・縦横の収め方
- 1 本のクレジットと時間、正方形の絵を切らずに動かせるモデル
確認した環境: YOBITSUGI AI で各モデルを実行(Gemini Omni Flash・Veo 3.1 Fast・Seedance 2.5・Grok Imagine Video 1.5・Runway Gen-4.5)/ 2026年10月14日に確認
アニメ調や手描きのイラストを、絵柄を崩さずに動かせる AI はどれでしょうか。セル画風と水彩の 2 枚の絵を最初の場面にして、5 つのモデルで 4 秒ずつ動かしました。今回の 2 枚・1 回ずつでは、絵柄(線・塗り・色)は作れた 9 本とも保たれました。差は、頼んでいない物が増える・消える所と、カメラの動き、正方形の絵の収め方に出ました。
結果の早見

- 黒い線が消えたり、セル画が写真のような陰影に変わったりした動画はありませんでした。
- 音は、Runway Gen-4.5 の 2 本だけが無く、ほかの 7 本には付いていました(聞いた感想は書きません)。
比べ方
比べたモデル
| モデル | 記録に残った名前 | できた動画 | 音 |
|---|---|---|---|
| Gemini Omni Flash | gemini-omni-1.1-flash |
1280×720・4.0 秒・16:9 | あり |
| Veo 3.1 Fast | veo-3.1-fast-generate-preview |
1280×720・4.0 秒・16:9 | あり |
| Seedance 2.5 | seedance-2-5 |
960×960・4.04 秒・1:1 | あり |
| Grok Imagine Video 1.5 | grok-imagine-video-1.5 |
960×960・4.04 秒・1:1 | あり |
| Runway Gen-4.5 | gen4.5 |
960×960・4.04 秒・1:1 | なし |
- 5 つとも 1 秒 24 コマです。長さ・解像度・音の有無は ffprobe(動画の中身を調べる道具)で調べました。
- Kling は今回は作っていません。
各モデルの公式の説明
- Google の説明では、Gemini Omni Flash は画像を渡して動画を作れ、縦横は 16:9(既定)と 9:16、音が付きます。Veo 3.1 は渡した画像を最初のコマにし、縦横は 16:9 と 9:16 です。
- Seedance 2.5 の公式のページ(ByteDance Seed)は、音と映像をいっしょに作り、1 回で 30 秒まで作れると説明しています。画像から作る機能の説明は、このページでは確かめられませんでした。
- Grok の公式ドキュメントでは、画像を最初の場面にし、動画の縦横は渡した画像に合わせます。Runway の API の説明では、Gen-4.5 は文からと画像からの両方で動画を作るモデルです。
元の絵と、渡した文
元にした絵は 2 枚です。どちらも、同じ連載の画像生成 AI を実写とアニメで比較 同じプロンプトで 6 モデルの得意と苦手を見るで、編集部が GPT-Image-2.5 Sunburst で作った架空の絵です(1024×1024 画素)。
- 絵 1(セル画風): 屋上で紙飛行機を持ち、ピースサインをする赤い髪の人物。黒い輪郭線と平らな塗りで、影は 1 段です。
- 絵 2(水彩): 縁側の三毛猫と、右に朝顔の鉢、左に赤いうちわ。にじみと紙の目のある絵です。
文は 2 枚とも同じ形にし、5 つのモデルに一字一句そのまま渡しました。
- 絵 1: この絵のまま、人物が紙飛行機を空へ投げる。髪と服が風で揺れる。カメラは動かさない。絵柄・線・色を変えない。
- 絵 2: この絵のまま、猫がこちらへ顔を向ける。朝顔の花と葉が風で揺れる。カメラは動かさない。絵柄・線・色を変えない。
数え方
- 絵ごとに 8 つのチェック項目を、動画を作る前に決めました。3 つが絵柄(線・塗り・色)で、自然さの 1 項目だけが編集部の見立てです。
- 絵柄は 0・2・4 秒のコマを元の絵と並べ、形は 0.5 秒ごとの 9 コマで見ました。線の太さと塗りの段の数は目で比べました。
- 色は 3 か所の小さな四角の色の中央値を元の絵と比べ、差を ΔE(CIEDE2000。色の違いを表す数で、小さいほど近い)で測りました。3 か所とも 10 未満なら ○ です。
- カメラは、0 秒と 4 秒で背景の同じ所を探し、ずれが画面の幅の 2% 以内なら ○ です。16:9 で描き足された空やフェンスの続きは、物の増減に数えていません。
- 数えたのは編集部(Claude Code を使用)です。
8 つのチェック項目(全文)
- 線: 0・2・4 秒のコマで、絵 1 は黒い輪郭線がはっきり残る。絵 2 は細い線が細いまま残る
- 塗り: 絵 1 は影が 1 段のべた塗りのまま。絵 2 は水彩のにじみと紙の目が残る(写真のような質感にならない)
- 色: 絵 1 は空・髪・上着、絵 2 は猫の胸・朝顔・うちわの 3 か所で、2 秒と 4 秒の色の差が 10 未満
- 形: 0.5 秒ごとの 9 コマで、顔(目・口・耳・鼻)と手や体(指の数・前足・しっぽ)が崩れない
- 動き: 絵 1 は紙飛行機が手を離れて空へ飛び、髪か上着が揺れる。絵 2 は猫が顔を正面へ向け、朝顔が揺れる
- 物の増減: 0 秒に無い人・物・字・ロゴが出ず、元の物(人物と紙飛行機 1 つ / 猫・鉢・開いた花 3 輪・うちわ)が消えたり増えたりしない
- カメラ: 背景の 2 か所のずれが、画面の幅の 2% 以内
- 自然さ(編集部の見立て): 体や顔の向きが急に飛ぶ、形が入れ替わることが無い
絵 1: セル画風

- 動き: 紙飛行機が手を離れて空へ飛んだのは、Gemini Omni Flash・Seedance 2.5・Grok Imagine Video 1.5・Runway Gen-4.5 の 4 本です。Veo 3.1 Fast の紙飛行機は、投げる前に手の中で消えました。髪か上着は 5 本とも揺れました。
- 物の増減: Runway Gen-4.5 は、1 秒すぎに手前に大きな紙飛行機を描き、2 秒には手に持った紙飛行機と空を飛ぶ紙飛行機が同時に写りました。Veo 3.1 Fast は、頭の右に赤い切れはしと白い筋が飛びました。
- カメラ: Gemini Omni Flash は 1〜1.5 秒で画面が引き、背景の 2 か所の間が約 16% 縮みました。Grok Imagine Video 1.5 は、背景が横に幅の約 2% ずれました。ほかの 3 つは、背景のずれが 0 でした。
- 形: 0.5 秒ごとのコマでは、指の数や顔の崩れは見つかりませんでした。
- 自然さ(編集部の見立て): Veo 3.1 Fast は、2.75〜2.88 秒に紙飛行機が手と溶け合って消え、そのまま後ろ向きに回りました。Runway Gen-4.5 は、1.13 秒の 1 コマで、手前の大きな紙飛行機が消えて腕の形も変わりました。

絵 1 の動画(5 本)
動画は、幅 720 画素に縮めて載せています(元の解像度は「比べたモデル」の表のとおり)。
絵 2: 水彩

- 動き: 猫は 4 本とも正面を向きました。向いたのは、Veo 3.1 Fast が 1.5 秒、Grok Imagine Video 1.5 が 2 秒、Gemini Omni Flash と Runway Gen-4.5 が 2.5 秒ごろです(Runway は 2 秒のコマで目を閉じていました)。朝顔は 4 本とも揺れました。
- 物の増減: Veo 3.1 Fast は、1 秒から青い物や花が宙を飛び、3 秒には横向きの花が 5 輪になりました。Runway Gen-4.5 は、鉢の植物の葉と茎が描き直され、開いた花は 4 秒で 4 輪以上になりました。Gemini Omni Flash は、1〜2.25 秒に、0 秒に無い葉が宙を飛びました(多いコマで 2 枚)。
- カメラ: 4 本とも、背景のずれは幅の 0.1% 以下でした。
- 自然さ(編集部の見立て): Runway Gen-4.5 は 1.9 秒に、猫の顔が横向きから目を閉じた正面へ 1 コマで変わりました。ほかの 3 本は、顔の向きがつながって変わりました。
- 絵柄: 水彩のにじみと紙の目は、4 本とも残りました。

絵 2 の動画(4 本)
Seedance 2.5 の絵 2 は作れなかったので、4 本です。
項目ごとに見る

色の差(ΔE)の値
2 秒と 4 秒の 3 か所で、いちばん大きかった値です。10 未満を ○ にしています。
| 絵 1(空・髪・上着) | 絵 2(胸・朝顔・うちわ) | |
|---|---|---|
| Gemini Omni Flash | 4.2 | 2.0 |
| Veo 3.1 Fast | 1.7 | 1.4 |
| Seedance 2.5 | 2.8 | 作れず |
| Grok Imagine Video 1.5 | 1.8 | 2.0 |
| Runway Gen-4.5 | 3.0 | 9.2 |
物が動いたコマでは、四角を同じ物の上に置き直して測りました。
正方形の絵の収め方

| モデル | 頼んだ縦横 | できた動画 | 正方形の絵の収め方 |
|---|---|---|---|
| Gemini Omni Flash | 16:9(1:1 は選べない) | 1280×720 | 上下を約 22% ずつ切った |
| Veo 3.1 Fast | 16:9(1:1 は選べない) | 1280×720 | 切らずに真ん中に置き、画面の約 44% が左右の黒い帯 |
| Seedance 2.5 | 1:1 は断られ、adaptive(元の画像に合わせる) | 960×960 | 切らずにそのまま |
| Grok Imagine Video 1.5 | 1:1(画像を渡すと、縦横は画像に合わせる作り) | 960×960 | 切らずにそのまま |
| Runway Gen-4.5 | 1:1 | 960×960 | 切らずにそのまま |
- 収め方は、8 つの項目に入れていません(作る前に、別に書くと決めました)。
- Grok Imagine Video 1.5 も縦横を画像に合わせる作りなので、adaptive の Seedance 2.5 を含む 3 つは同じ 960×960 になりました。この 3 つの間に、縦横による有利・不利はありません。
- 16:9 で描き足された空やフェンスは、物の増減に数えていません。ただ、Gemini Omni Flash の絵 1 のカメラの × は、上下を切った画面が引き、頭の上を描き足した動きです。1:1 なら引かなかったかは、今回の結果からは分かりません。
時間と料金

- 料金は、安い順に、Veo 3.1 Fast が 70.2、Gemini Omni Flash が 72.9〜73.1、Runway Gen-4.5 が 84.3、Grok Imagine Video 1.5 が 100.1、Seedance 2.5 が 421.4 クレジットでした。Seedance 2.5 は、ほかの 4.2〜6.0 倍です。
- 時間は、頼んでから動画が保存されるまでの秒数です。Grok Imagine Video 1.5 が 27.4〜33.7 秒で、Seedance 2.5 は 425.4 秒(約 7 分)でした。4〜5 本を同時に頼んだ記録です(Seedance 2.5 は頼み直しの 1 本だけ)。
- 使ったクレジットは、作れた 9 本で 1,076.6 です。受け付けられなかった 3 回は 0 クレジットでした。
どれを使う? 今回の結果からの使い分け
絵柄は 9 本とも保たれたので、ほかの点で選びます。今回の 2 枚・1 回ずつの結果から言えることだけです。
- 正方形の絵を、切らずに動かしたい: 1:1 で作れた Seedance 2.5・Grok Imagine Video 1.5・Runway Gen-4.5 です。Gemini Omni Flash と Veo 3.1 は、上下が切れるか、黒い帯が入りました。
- 小物を増やしたくない・消したくない: 物の増減の項目を 2 枚とも守ったのは Grok Imagine Video 1.5 です。Seedance 2.5 は絵 1 で守りました。Veo 3.1 Fast と Runway Gen-4.5 は、2 枚とも物が増えたり形が変わったりしました。
- 背景を止めておきたい: 「カメラは動かさない」と書いても、Gemini Omni Flash と Grok Imagine Video 1.5 の絵 1 では背景が動きました。Veo 3.1 Fast・Seedance 2.5・Runway Gen-4.5 は、作れた動画すべてで背景が止まっていました。
- 料金と待ち時間: 1 本 70〜100 クレジットの 4 つに対し、Seedance 2.5 は 421.4 クレジット・約 7 分でした。
気をつけること
- 1 回ずつの結果です。 同じ絵と文でも、作るたびに動きは変わります。
- コマ送りで確かめます。 Veo 3.1 Fast の絵 1 のように、0.5 秒ごとのコマに写らない一瞬の崩れもあります。
- Veo 3.1 は提供が終わる予定です。 Google の非推奨の一覧では、今回の
veo-3.1-fast-generate-previewは、早ければ 2026年10月22日に提供を終える予定です。後継は Gemini Omni Flash(gemini-omni-1.1-flash)です。 - 透かしが入るモデルがあります。 Google の説明では、Gemini Omni Flash と Veo で作った動画には、見えない電子透かし SynthID が入ります。
- 元の絵の権利を確かめます。 渡すのは、自分で描いた絵か使ってよい絵にし、既存のキャラクターに似た絵は避けます。仕事で使う前に、各社の利用の決まりも確かめてください。
まとめ
- 今回の 2 枚・1 回ずつでは、絵柄は作れた 9 本とも保たれました。差は、物の増減・カメラ・正方形の絵の収め方に出ました。
- 2 枚とも物の増減が無かったのは Grok Imagine Video 1.5、絵 1 の 8 項目すべてを守ったのは Seedance 2.5 でした。1〜2 項目の差なので、順位は付けません。
- どれも 2 枚・1 回ずつの結果です。自分の絵で 1 本ずつ作り、コマ送りで見比べてください。
参考にした公式の情報
- Google AI for Developers「Generate and edit videos with Gemini Omni Flash」
- Google AI for Developers「Generate videos with Veo 3.1 in Gemini API」
- Google AI for Developers「Gemini deprecations」
- ByteDance Seed「Seedance 2.5」
- Grok の公式ドキュメント「Video Generation」
- Runway API ドキュメント「Available AI Models」
- YOBITSUGI AI「料金とシミュレーション」
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
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