この記事でわかること
- 4つの作り方で44枚作って分かった、顔がそろう頼み方と費用
- どんぐりの数と雪が外れた理由と、直したプロンプトの文
- 紙にするときの解像度と、家族の外に出す前に読む決まり
確認した環境: お話は編集部(Claude Code)/ 絵と声はYOBITSUGI AI(gpt-image-2.5-flare・Nano Banana 2.1・Gemini 3.8 Flash TTS)/ 2026年10月31日に作成
AIで絵本は作れました。表紙と10場面に読み聞かせの声まで付けて、絵と声に要ったのは約86クレジット(税抜で約86円)です。クレジットは先に買うプリペイド式で、有効期限は6か月あります。

顔は設定画を渡せば2つのモデルともそろい、字はあとから載せました。手こずったのは、雪とどんぐりの数です。
プロンプトに書かなかった雪は消え、かごのどんぐりは4個から数が合わなくなりました。できあがった1冊は、下のページでそのまま読めます。
お話を先に書き、絵と声をAIに頼んだ
子どもに、世界に1冊の絵本を作ってあげたい。そんな願いは、ずいぶん身近になりました。Googleは2025年8月に、Geminiのアプリで絵と朗読つきの10ページの絵本を作れるようにしています。
ただ、ひと言で1冊できる形だと、AIがどこを外すのかが見えにくくなると考えました。そこで今回は、お話を編集部がClaude Codeで書き、絵と声を1枚ずつYOBITSUGI AIで作りました。YOBITSUGI AIは、ハック!でAIと同じ会社が運営しています。
お話は「ポポと いつつの どんぐり」です。こりすのポポが、おばあちゃんに届けるどんぐりを持って雪の森を歩き、おなかをすかせた動物たちに1個ずつ分けていきます。かごの数は5、4、3、2、1と減らしました。絵が合っているかを、数で確かめられるからです。3〜5歳向けなので、文はひらがなの分かち書きにしています。


4つの作り方で44枚。GPTは文章だけでも顔がそろった
どの作り方がよいかは、先に決めずに比べました。モデルはgpt-image-2.5-flareとNano Banana 2.1の2つです。頼み方は、プロンプトに毎回人物の説明を書く「文章だけ」と、先に描かせた設定画を毎回渡す「設定画あり」の2つ。設定画は、登場人物の全身を1枚に並べた絵です。4通りで表紙と10場面を1回ずつ作り、作る前に決めた7つの項目で判定しました。


設定画が要るかどうかは、モデルで分かれました。GPTは文章だけでも、10枚とも同じ顔のポポです。Nano Bananaの文章だけは、10枚のうち8枚でポポの頭やしっぽに縞が出てシマリスのようになり、場面9ではおばあちゃんが人間になりました。設定画を渡すと10枚とも同じ顔に戻ったものの、今度は場面9でおばあちゃんが家の中と外に2人います。
費用の差も、枚数が増えると効いてきます。1枚あたりGPTの文章だけが2.07クレジット、設定画ありが4.24で、Nano Bananaは8クレジット台でした。比べた分も入れた費用は、全部で310.62クレジットです。1回ずつの結果なので、モデルの優劣まで言い切ることはできません。参照の画像の効き方は、同じ顔を保つ比較でも測っています。
GPTの2つは、合計で設定画ありが1点上のほぼ並びでした。点の高いほうを土台に外れた場面を直しましたが、費用は倍なので、この差なら文章だけでもよかったと思います。
どんぐりの数は、3個まではほぼ合い、4〜5個で外れた
いちばんよく外れた項目が、数です。「かごの中のどんぐりはちょうど5個」と頼んでも、6個や4個、3個が描かれます。


4〜5個を頼んだ16枚のうち、合った絵は4枚でした。1〜3個の24枚では3枚が外れ、そのうち2枚は数というより、渡す途中でこぐまの手が空だった絵です。山盛りのかごは、数よりも「たくさん入っている感じ」で描かれるのではないかとみています。ここは推測で、理由までは確かめていません。
作り直しでは、プロンプトに「重ならないように並べる」「1列に並べる」と足しました。5個を狙った4回のうち、2回で5個が横に並びました。残る2回は場面2で、2回とも4個です。決めておいた回数で打ち切り、文章だけの作り方で5個ちょうどだった絵を使っています。
数をお話の中心に置くなら、ここは拡大して数えるしかありません。
AIは前のページを覚えていない
判定の項目に入れていなかったのに、並べて見て驚いたのが雪です。


場面5と8だけ雪が消え、草や花が生えました。4つの作り方のすべてで、同じ2場面です。プロンプトを読み返すと、この2場面には「雪」も冬を思わせる語もありませんでした。同じく「雪」と書かなかった場面4は、「凍りかけた小川」の一言で4枚とも雪景色です。1枚ずつ別に頼むので、絵のモデルは直前まで雪が降っていたことを知りません。
毎回、はじめてお話を聞く絵描きさんに頼んでいるようなものです。
渡す場面でも、数の合わない絵が出ました。渡す3場面の12枚のうち6枚で、ポポの手と相手の手の両方にどんぐりが描かれています(場面3が4枚、場面5が2枚、場面7は0枚)。1個渡したのに、絵の中では1個増えた計算です。書き方が原因かは分かりません。場面の文を「わたした」に変え、「ポポの手には何も持たせない」と足すと、作り直した2枚では消えました。
字はあとから載せ、声はGeminiに読ませた
字はAIに描かせていません。絵の上の3分の1を空けるように頼み、編集部が文字として載せました。文を直すたびに絵を作り直さずに済み、分かち書きも思いどおりになるからです。GPTは空や壁を自然な余白にしましたが、Nano Bananaは5枚で四角い帯を残しました。
声は、ポッドキャストの比較で原稿との違いが少なかったGeminiにしました。「小さな子どもに読み聞かせるように、やさしく、ゆっくり」と指定しています。2つ以上の文字起こしAIが同じように原稿と違えたところは、「とどけよう」を「とどけよ」と起こした1か所でした。作り直しても同じだったので、1回目の声をそのまま使っています。
KDPの基準には解像度が届かない
画面で読むぶんには十分でも、本にして売るとなると話が変わります。


PDFはA5横に塗り足し3mmを付けた大きさで作りました。塗り足しは、断裁で白が出ないよう外へ広げる分です。GPTの絵は1536×1024なので、この大きさでは169dpiになります。dpiは1インチに並ぶ点の数です。Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)のペーパーバックは300dpi以上を求めていて、300dpiのまま刷れるのは横130×縦87mmまで。塗り足しもKDPの3.2mmとは少し違います。今回は実際に印刷していないので、家庭のプリンターでの見え方は確かめていません。
家族の外に出すなら、決まりも読みます。KDPは、本に使ったAI生成の文章、画像、翻訳を、出版のときに知らせるよう求めています。AIで作った絵がそのまま著作物になるとは限らないことは、生成AIの著作権の記事にまとめました。
Geminiの絵本の機能は、自分の写真も手がかりにできます。今回はその機能も写真も使っていません。子どもの写真をAIに渡すかどうかは、それぞれの家庭で決めることだと考えています。
お話を覚えているのは、頼む側だけ
絵と声のモデルに任せられたのは、1枚ごとの絵を描く手と、文を読む声でした。話の筋も、かごの数の勘定も、季節のつながりも、モデルは持っていません。今回はお話も判定も編集部のClaude Codeが担当しましたが、子どもに渡す本としてよいかを最後に決めるのは、読み聞かせる人です。
だから作るときは、1枚目を頼む前に、全ページのプロンプトに書く文を決めておくと楽になります。今回なら「季節は冬」と、人物の説明と、どんぐりの並べ方でした。手軽に1冊ほしいならGeminiの機能が早いはずです(試していません)。数や前提まで確かめたいお話なら、今回のように1枚ずつ頼むほうが直しやすいとみています。
お子さんと作るなら、できた絵のかごを一緒に数えてみてください。AIの外したところを見つける時間も、案外いい読み聞かせになるかもしれません。
測り方
44枚の条件と、判定のしかた
- 作った日は2026年10月31日です。絵はYOBITSUGI AIから1536×1024で頼み、届いた大きさはgpt-image-2.5-flareが1536×1024、Nano Banana 2.1が1264×848でした。設定画は、モデルごとに1枚ずつ作って渡しています。
- 判定の7項目は作る前に決めました。ポポの目印(青いマフラーと黄色い長靴)、同じ顔、どんぐりの数、顔ぶれと各人物の目印、頼んでいない文字、上の3分の1の余白、手足などの形です。1回目の絵だけを、編集部のClaude Codeが画像を拡大して判定し、別の校閲役のClaude Codeも数え直しました。人は判定していません。作り方ごとに1回ずつの結果です。
- 計画の77点は、基準にした表紙の「同じ顔」を判定しないので76点に直しました。場面9はどんぐりでなく、おみやげ4種を見ています。四角い帯の5枚は、余白ありとして合格にしました。
- どんぐりの基準は、かごの中の数と相手の持つ数です。かごに4個と手に1個の絵を不合格にする扱いと、ポポの手に余分な1個があっても基準の数が合えば合格にする扱いは、絵を見てから決めました。重なって読みが割れる絵が3枚(GPT・設定画ありの場面3、GPT・文章だけの場面4、Nano・設定画ありの場面4)あります。
- 雪と、渡した1個が残る問題は、結果を見てから気づいたので、点には入れていません。
- 作り直しは7回で、1場面2回までと決めていました。使った絵は、表紙と場面1、3、5、8が作り直した絵、場面2が文章だけの絵、残りが設定画ありの1回目です。
- 声はGemini 3.8 Flash TTSです。OpenAIのgpt-transcribe、Geminiの3.5 Transcribe、ElevenLabsのScribe v2で文字に戻しました。
- 費用の内訳は、設定画12.15、44枚257.49、作り直し29.89、声5.53、声の確認5.56です。約86は、使った作り方の設定画と11枚、場面2の絵、作り直し、声の分を足した数で、お話を書く分は入れていません。1クレジットは税抜1円です。
場面3を作り直したときのプロンプトの全文
添付の設定画と同じ絵柄、同じ見た目の人物で描いてください。
やわらかい色鉛筆と水彩で描いた、3〜5歳向けの絵本の挿絵。線はやさしく、形は丸く、怖くない。背景はあっさり描く。文字・数字・ロゴ・サインは入れない。既存のキャラクターに似せない。
場面: 雪の森。ポポのわたしたどんぐりを、うさぎが両手で1個持ってよろこんでいる。ポポのかごは足もとに置いてあり、中のどんぐりはちょうど4個。ポポの手には何も持たせない。どんぐりは数えられるように大きめに描き、重ならないように並べる。
出てくる人物:
・ポポ: 子りす。オレンジがかった茶色の毛、おなかはクリーム色、大きくふさふさのしっぽ、丸い2頭身。青いマフラーをまき、黄色い長靴をはいている
・うさぎ: 白い子うさぎ。耳の内側がピンク、緑のチョッキを着ている
季節は冬。屋外の場面は、地面にも木にも雪が積もっている。画面の上の3分の1は、空や壁の無地に近い余白にして、あとから文章を載せられるようにする。人物と大事な物は下の3分の2に収める。
参考にした公式の情報
連載・作ってみた AIで作る
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
