本文へ移動
ハック!でAI
投稿する
連載・作ってみたAIで作る

#8/ 全8回

生成AIの著作権と商用利用 作る前と公開の前に確かめる 4 つのこと

佐々木 航@w_sasakiwith Claude Code読了 約18分

この記事でわかること

  • 侵害かを分ける「類似性」と「依拠性」と、避けたい入れ方
  • 6 つの道具の規約にある、出力の権利と商用の条件
  • 表示と記録の決まりと、作る前・公開の前の早見表

確認した環境: 文化庁・内閣府・総務省・経済産業省・消費者庁の資料、OpenAI・Google・Anthropic・Adobe・Midjourney・ElevenLabs の規約、編集部の生成の記録(公開済みの 28 本・1,005 件)/ 2026年10月24日に確認

来週のお店の告知に、AI で作ったイラストを載せたい。取引先に出す資料に、AI が書いた文章とコードを入れたい。そのとき「これは使っていいのか」と迷ったら、確かめることは 4 つです。

作る前と公開の前に確かめる早見のチェックリスト。規約・権利・機密・表示・記録の札が付いた 10 の項目が、2 列に並んでいる
この回の扉作図: 編集部

権利(既存の作品・ロゴ・実在の人に似ていないか)、規約(使った道具が、出力と商用の利用をどう定めているか)、表示(AI で作ったこと・広告であることを示す場面か)、記録(頼んだ文と日付を残したか)です。この記事では、官公庁の資料と 6 つの道具の規約の言葉で、4 つの確かめ方をまとめます。

連載「AIで作る」の第 8 回です。これまでの回で作ったアプリ・漫画・3D などのどれにも、この 4 つは共通します。

先に答え: 4 つを、作る前と公開の前に確かめる

表。1 権利は、作る前に作品名・キャラクター名・実在の人の名前、他人の画像や声を入れない。公開の前に既存の作品・ロゴ・実在の人に似ていないか画像検索などで調べる。2 規約は、作る前に出力の権利と商用の条件を読む(プラン・会社の売上・ベータ版)。公開の前に使い道が条件に合っているか。3 表示は、作る前に出し先と広告の決まりを読む。公開の前に AI で作ったこと・広告であることを書き、来歴の情報を消さない。4 記録は、作る前に頼んだ文・道具とモデル・日時を残す形にし、公開の前に読んだ規約の版、調べた結果、公開した場所を足す表。1 権利は、作る前に作品名・キャラクター名・実在の人の名前、他人の画像や声を入れない。公開の前に既存の作品・ロゴ・実在の人に似ていないか画像検索などで調べる。2 規約は、作る前に出力の権利と商用の条件を読む(プラン・会社の売上・ベータ版)。公開の前に使い道が条件に合っているか。3 表示は、作る前に出し先と広告の決まりを読む。公開の前に AI で作ったこと・広告であることを書き、来歴の情報を消さない。4 記録は、作る前に頼んだ文・道具とモデル・日時を残す形にし、公開の前に読んだ規約の版、調べた結果、公開した場所を足す
AI で作った物を使う前に確かめる 4 つ。作る前と公開の前に分けた撮影・作図: 編集部
  • 権利: 著作権の侵害かどうかは、AI を使っても、従来と同じく「類似性」と「依拠性」で考えるとされています。作品名やキャラクターの名前、他人の絵を入れると、依拠性が認められやすくなります。
  • 規約: 確かめた 6 つの道具の規約に、出力の権利を道具の会社のものとする定めは見当たりませんでした。ただし、会社の売上・無料か有料か・ベータ版や試用かで、条件が付く道具があります。
  • 表示: OpenAI と Google の規約は、AI の出力を人が作ったように見せることを禁じています。出し先の決まりと広告の決まりでも、表示が要る場面があります。
  • 記録: 文化庁の資料は、プロンプトなど生成の過程を確かめられる状態にしておくよう努めることが望まれる、としています。

なぜ迷うのか: 「著作権がない」と「使ってよい」は別の話

よく聞く迷いは、次の 3 つです。

  • AI で作った物には著作権がないから、自由に使える
  • 有料のプランなら、何に使ってもよい
  • 規約に「あなたが所有します」とあるから、安心

どれも半分だけ合っています。AI で作った物が著作物になるかと、他人の著作権を侵害していないかは、別の問題です。文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)も、この 2 つを混同しないよう、社内で著作権の理解を確かめておくことを挙げています。

規約の「所有」も、ほかの人の権利を消すものではありません。たとえば Midjourney の規約は、所有が「the rights of any third-parties」(第三者の権利)に従う、と書いています。

権利: 作る前に、入れる物を確かめる

侵害かどうかは「似ている」と「もとにした」で決まる

類似性(既存の作品の表現の本質的な特徴を直接感じ取れるか)と、依拠性(既存の作品の表現をもとにして作ったか)がそろうと、侵害になり得る。やめるよう求められ得て、損害賠償は故意か過失があるとき、刑事罰は故意があるとき。依拠性が認められやすい入れ方は、既存の画像を指示として入れる(Image to Image)、作品の題名・キャラクター名などの固有名詞を入れる、知らない作品でも学習のデータに入っていて似た物ができたら通常は依拠性があったと推認される、の 3 つ。作風が共通するだけなら侵害にはならないが、作品の表現そのものが直接感じ取れるほど似ていれば侵害に当たり得る類似性(既存の作品の表現の本質的な特徴を直接感じ取れるか)と、依拠性(既存の作品の表現をもとにして作ったか)がそろうと、侵害になり得る。やめるよう求められ得て、損害賠償は故意か過失があるとき、刑事罰は故意があるとき。依拠性が認められやすい入れ方は、既存の画像を指示として入れる(Image to Image)、作品の題名・キャラクター名などの固有名詞を入れる、知らない作品でも学習のデータに入っていて似た物ができたら通常は依拠性があったと推認される、の 3 つ。作風が共通するだけなら侵害にはならないが、作品の表現そのものが直接感じ取れるほど似ていれば侵害に当たり得る
著作権の侵害かどうかを分ける 2 つと、依拠性が認められやすい入れ方撮影・作図: 編集部

文化審議会の小委員会がまとめ、文化庁が公開している「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)は、AI で作った物も、既存の著作物との「類似性及び依拠性が認められれば」侵害になり得るとしています。人が AI を使わずに作るときと、同じ考え方です。

利用者が既存の作品を知っていて似た物を作らせた場合は、依拠性が認められるとしています。例として挙げているのは、Image to Image(画像を指示として入れて画像を作ること)と、作品の題名などの固有名詞を入れることです。チェックリストは、キャラクターの名前も例に入れています。

知らない作品でも、安心はできません。学習のデータにその作品が入っていて、似た物ができた場合は「通常、依拠性があったと推認され」るとされています。故意も過失も認められない場合、損害賠償や刑事罰の対象にはならないと考えられていますが、使うのをやめるよう求められること(差止請求)や、使用料に当たる額を返すよう求められること(不当利得の返還)はあり得るとされています。

作風(絵柄や文体の雰囲気)が共通するだけなら、侵害にはならないとされています。ただし、作品の表現そのものが直接感じ取れるほど似ていれば、侵害に当たり得ます。

著作権のほかにも、似せてはいけない物がある

3 つの箱。商標(ロゴ・商品名・サービス名)は依拠性は不要で、登録された商標と同じか似た物を同じか似た商品・サービスに使うと侵害になり得る。意匠(物や画面のデザイン)も依拠性は不要で、登録された意匠と同じか似たデザインを業として使うと侵害になり得る。実在の人の顔と声(肖像権・パブリシティ権)は一般の基準と同じで、声も広告に使う場合などにパブリシティ権で守られ得る。下の帯に、編集部は AI のお題に実在の人・作品・ロゴの名前を入れないことから始めている、とある3 つの箱。商標(ロゴ・商品名・サービス名)は依拠性は不要で、登録された商標と同じか似た物を同じか似た商品・サービスに使うと侵害になり得る。意匠(物や画面のデザイン)も依拠性は不要で、登録された意匠と同じか似たデザインを業として使うと侵害になり得る。実在の人の顔と声(肖像権・パブリシティ権)は一般の基準と同じで、声も広告に使う場合などにパブリシティ権で守られ得る。下の帯に、編集部は AI のお題に実在の人・作品・ロゴの名前を入れないことから始めている、とある
著作権のほかに気をつける、商標・意匠・肖像とパブリシティ撮影・作図: 編集部

内閣府の「AI 時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(2024年5月)は、商標権(ロゴ・商品名)と意匠権(物や画面のデザイン)の侵害には、いわゆる「依拠性」は不要だとしています。もとにしていなくても、登録された物と同じか似ていて、商標なら同じか似た商品・サービスに、意匠なら仕事として使えば、侵害になり得るということです。

実在の人の顔と声には、肖像権とパブリシティ権がかかわります。同じ資料は、声も広告に使う場合などに、パブリシティ権で守られ得ると整理しています。

入れる物の中に、社外秘や個人情報がないかは、別に確かめます。考え方は個人情報や機密を AI に貼るのは、本当にダメ? 法律・契約・技術に分けて考えるで整理しています。

AI で作った物が「著作物」になるとは限らない

表。指示の分量・内容は、創作的な表現を具体的に示す詳しい指示なら認められる方へ働き、長くてもアイデアだけの指示は影響しない。試した回数は、できた物を見て指示を直しながら繰り返すことが認められる方へ働き、回数が多いこと自体は影響しない。選ぶことは、選ぶだけなら影響しない。人の創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物と認められる。下の帯に、著作物と認められない物は著作権で守れない場合があると編集部は考えている、とある表。指示の分量・内容は、創作的な表現を具体的に示す詳しい指示なら認められる方へ働き、長くてもアイデアだけの指示は影響しない。試した回数は、できた物を見て指示を直しながら繰り返すことが認められる方へ働き、回数が多いこと自体は影響しない。選ぶことは、選ぶだけなら影響しない。人の創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物と認められる。下の帯に、著作物と認められない物は著作権で守れない場合があると編集部は考えている、とある
AI で作った物が著作物になるかの判断の要素(文化庁の考え方)撮影・作図: 編集部

文化庁の考え方は、AI への指示が「表現に至らないアイデアにとどまる」場合は、著作物と認められないとしています。試した回数が多いことや、たくさんの中から選んだことだけでは、判断に影響しないとされています。

一方で、人が創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物と認められるとしています。著作物であることを前提に取引する場合は、AI を使ったことや著作物かどうかを、相手に適切に説明することが求められる、とチェックリストは書いています。

規約: 使う道具の「出力」と「商用」の条文を読む

6 つの道具で、出力の権利と条件を比べる

表。OpenAI は個人向けの利用規約で「お客様は、…(b)アウトプットを所有します」、事業者向けも owns all Output。出力は特有のものではない場合があり、人が作っていない出力を人が作ったと表示するのは禁止。Google は「Google がそのコンテンツに対する所有権を主張することはありません」。API では同一か類似のコンテンツをほかの人にも生成することがあり、コードも含め自分の裁量で使い責任を負う。生成 AI のコンテンツを人が作ったと誤解させるのは禁止。Anthropic は個人向けで出力の権利が自社にあればすべて譲る、事業者向けは owns its Outputs。試用での利用は個人の非商用に限り、事業者向けには有料の利用の出力が知的財産権を侵害するという請求への防御と補償の定めがある表。OpenAI は個人向けの利用規約で「お客様は、…(b)アウトプットを所有します」、事業者向けも owns all Output。出力は特有のものではない場合があり、人が作っていない出力を人が作ったと表示するのは禁止。Google は「Google がそのコンテンツに対する所有権を主張することはありません」。API では同一か類似のコンテンツをほかの人にも生成することがあり、コードも含め自分の裁量で使い責任を負う。生成 AI のコンテンツを人が作ったと誤解させるのは禁止。Anthropic は個人向けで出力の権利が自社にあればすべて譲る、事業者向けは owns its Outputs。試用での利用は個人の非商用に限り、事業者向けには有料の利用の出力が知的財産権を侵害するという請求への防御と補償の定めがある
規約の比べ ① OpenAI・Google・Anthropic の出力の権利と条件撮影・作図: 編集部
表。Adobe Firefly は作った物を含む Content の所有権を主張しない。ベータ表示のない機能の出力は商用に使え、ベータの機能も製品内に別の記載がなければ使える。試用などと指定された版で作った物は商用に使えない。Content Credentials を消したり変えたりしない。Midjourney は作った物を所有するが、年の売上が 100 万米ドルを超える会社とその従業員は Pro か Mega のプランが必要。他人の画像をアップスケールした物は元の作者の物。既定で公開され、ほかの人が使い作り変えられる(Pro と Mega の Stealth では公開しないよう努める)。ElevenLabs は出力のすべての権利を持つが、無料の利用者は非商用の目的だけ(利用規約。音楽の規約の表は無料でも一部の商用を認める書き方)、有料のプランなら商用に使える表。Adobe Firefly は作った物を含む Content の所有権を主張しない。ベータ表示のない機能の出力は商用に使え、ベータの機能も製品内に別の記載がなければ使える。試用などと指定された版で作った物は商用に使えない。Content Credentials を消したり変えたりしない。Midjourney は作った物を所有するが、年の売上が 100 万米ドルを超える会社とその従業員は Pro か Mega のプランが必要。他人の画像をアップスケールした物は元の作者の物。既定で公開され、ほかの人が使い作り変えられる(Pro と Mega の Stealth では公開しないよう努める)。ElevenLabs は出力のすべての権利を持つが、無料の利用者は非商用の目的だけ(利用規約。音楽の規約の表は無料でも一部の商用を認める書き方)、有料のプランなら商用に使える
規約の比べ ② Adobe Firefly・Midjourney・ElevenLabs は、プランや機能で条件が変わる撮影・作図: 編集部

確かめたのは、OpenAI・Google・Anthropic・Adobe(Firefly)・Midjourney・ElevenLabs の規約です。言い方は「所有する」「所有権を主張しない」「権利があれば譲る」と違いますが、出力の権利を道具の会社のものとする定めは見当たりませんでした。

条件が付くのは、次の場面です。

  • 会社で使う: Midjourney は、年の売上が 100 万米ドルを超える会社とその従業員が所有するには、Pro か Mega のプランが必要だとしています。あとでプランを下げても、作った物の所有は続くと書いています。
  • 無料で使う: ElevenLabs の利用規約は、無料の利用者は非商用の目的だけに使える、としています。一方、音楽(Eleven Music)の規約の表は、無料でも映画・テレビ・ラジオなどを除く商用の利用を認める書き方で、2 つの規約の書き方は違って見えます(原文は第 7 回「AI 作曲で BGM と歌を作る」に並べました)。無料で作った物を仕事に使う前に、ElevenLabs に確かめてください。有料のプランなら、どちらの規約でも商用に使えます。
  • 試用・ベータの機能: Adobe は、試用(trial)などと指定された版で作った物を、商用に使うことを禁じています。Firefly の FAQ は、ベータ表示のない機能の出力は商用に使え、ベータの機能も製品内に別の記載がなければ使える、としています。Anthropic の個人向けの規約にも、試用(evaluation)の利用は個人の非商用に限る、という定めがあります。
  • 公開の設定: Midjourney は、作った物が既定で公開され、ほかの人が使い、作り変えられるとしています。Pro と Mega のプランで Stealth の機能を使えば、公開しないよう努める、としています。

「所有」でも、ほかの人に同じような物が出ることがある

OpenAI の規約は、出力は「特有のものではない場合があり」、他のユーザーが同様の出力を受け取る場合がある、と書いています。Gemini API の追加利用規約も、Google が同一または類似のコンテンツを他者に生成することへの同意を求めています。

ここからは編集部の読み方です。規約の「所有」は、道具の会社と利用者のあいだの約束です。OpenAI と Midjourney は、適用される法律で認められる範囲で、と断っています。

著作物と認められない物は、所有していても、他人がまねるのを著作権で止められない場合があると考えられます。看板のキャラクターのように自分だけの物にしたい絵は、人の手をどう加えるかも含めて、作る前に専門家に相談すると判断しやすくなります。

内容の制限(成人向けなど)も、道具ごとに大きく違います。成人向け(NSFW)の AI 生成: 各社の規約と、認めているサービスの違いで比べています。

表示: 3 つの場面で、AI で作ったこと・広告であることを示す

3 つの箱。1 道具の規約(OpenAI・Google・Adobe)は、AI の出力を人が作ったように見せない、来歴の情報を消したり変えたりしない。2 出し先の決まりは、本物のように見える AI の動画は開示が要り、非現実的な物や軽い編集は開示しなくてよい(YouTube)、投稿サイト・電子書籍・賞にもそれぞれの決まりがある。3 広告(景品表示法のステマの規制)は、広告であることを隠すのは 2023年10月1日から違反で対象は広告主の事業者、企業が人に依頼した投稿も広告に含まれ、自社で作った文を第三者の意見のように見せるなら自社の表示だと明瞭にする。下の帯に、AI で作った「お客さまの声」のような文を載せるときは 3 の広告の決まりに当たらないか確かめる、とある3 つの箱。1 道具の規約(OpenAI・Google・Adobe)は、AI の出力を人が作ったように見せない、来歴の情報を消したり変えたりしない。2 出し先の決まりは、本物のように見える AI の動画は開示が要り、非現実的な物や軽い編集は開示しなくてよい(YouTube)、投稿サイト・電子書籍・賞にもそれぞれの決まりがある。3 広告(景品表示法のステマの規制)は、広告であることを隠すのは 2023年10月1日から違反で対象は広告主の事業者、企業が人に依頼した投稿も広告に含まれ、自社で作った文を第三者の意見のように見せるなら自社の表示だと明瞭にする。下の帯に、AI で作った「お客さまの声」のような文を載せるときは 3 の広告の決まりに当たらないか確かめる、とある
表示が要る 3 つの場面。道具の規約・出し先の決まり・広告撮影・作図: 編集部

① 道具の規約: OpenAI の利用規約は、禁止事項に「人が作り出したものではない場合に、アウトプットを人が作り出したものと表示すること」を挙げています。Google の利用規約も「生成 AI のコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為」を禁じています。Adobe は、AI で作った物に付ける来歴の情報(Content Credentials)を、消したり変えたりしてはいけないとしています。しくみはAI 画像の C2PA とは? 確認方法と、自作の C2PA を AI が見抜けるか試したで説明しています。

② 出し先の決まり: YouTube のヘルプは「AI 生成コンテンツまたは改変コンテンツが本物のように見える場合、クリエイターによる開示が必要になります」としています。非現実的なものや軽い編集は、開示しなくてよいとされています。投稿サイト・電子書籍・漫画賞の例は、AI で 4 コマ漫画を作ってみた 任せられることと、人がすることにまとめました。

③ 広告: 消費者庁は、2023年10月1日から、ステルスマーケティングを景品表示法の違反としています。説明は「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すこと」です。AI で作ったかどうかとは別に、広告であることの表示が要ります。

たとえば、AI で書いた紹介文をインフルエンサーに渡して投稿してもらう場合です。消費者庁は、企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも広告に含まれる、と説明しています。

運用基準は、自社のサイトでも、第三者の意見のように見えて実際は自社が作った文には、自社の表示であることを明瞭に示すよう求めています。AI に「お客さまの声」のような文を書かせて載せるときは、この点に当たらないか確かめます。

総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日)も、生成物の利用に人の判断をはさむ工夫の例に「生成物であることを示す透かしを入れること」を挙げています。

記録: 頼んだ文と日付を、1 件ずつ残す

左は編集部が 1 件ごとに残している項目の例。日時 2026年10月14日 4:00(日本時間)、道具とモデル gpt-image-2.5-sunburst、頼んだ文「…商品の形・色・ラベルは変えないでください。変えるのは背景だけです。…文字やロゴは足さないでください。」、渡した画像は編集部が作った架空の商品の写真、設定は大きさ 1024×1024、時間 19.1 秒、できたファイルの名前。右は足すとよい項目で、使ったプランとアカウント、読んだ規約の版と読んだ日、似た物を調べた方法と結果、人が直した所、公開した場所と日付左は編集部が 1 件ごとに残している項目の例。日時 2026年10月14日 4:00(日本時間)、道具とモデル gpt-image-2.5-sunburst、頼んだ文「…商品の形・色・ラベルは変えないでください。変えるのは背景だけです。…文字やロゴは足さないでください。」、渡した画像は編集部が作った架空の商品の写真、設定は大きさ 1024×1024、時間 19.1 秒、できたファイルの名前。右は足すとよい項目で、使ったプランとアカウント、読んだ規約の版と読んだ日、似た物を調べた方法と結果、人が直した所、公開した場所と日付
記録に残す項目と、編集部の記録の 1 件の例撮影・作図: 編集部

文化庁のチェックリストは、依拠性がないことを説明できるよう、「生成に用いたプロンプト等、生成物の生成過程を確認可能な状態にしておくよう努めることが望まれます」としています。著作物かどうかを説明する観点でも、プロンプトなどを確かめられるようにしておくことが望まれる、としています。

AI事業者ガイドラインは、AI を仕事で使う側に、提供された文書を保管・活用することと、サービスの規約を守ることを挙げています。規約は変わるので、使った日の版を保存しておくと、あとで「その日の決まり」を確かめられます。

編集部の運用: ハック!でAI の記事でしていること

3 つの数字。生成の記録 1,005 件(公開済みの 28 本)で、すべてに頼んだ文か渡したファイル・日時・費用。載せた音声・動画 236 本で、すべてに何で作ったかの表示。ロゴ・商標・既存の作品の印に似た物が出たのは 6 件(3 本の記事)。3 つの決まりは、1 AI で作ったと書く、2 似た物は載せない(出た 6 件のうち 5 件は載せず、1 件は塗りつぶして失敗の例に)、3 頼んだ文を残す(モデルの名前はエラーで止まった 10 件を除く 995 件に残っている)3 つの数字。生成の記録 1,005 件(公開済みの 28 本)で、すべてに頼んだ文か渡したファイル・日時・費用。載せた音声・動画 236 本で、すべてに何で作ったかの表示。ロゴ・商標・既存の作品の印に似た物が出たのは 6 件(3 本の記事)。3 つの決まりは、1 AI で作ったと書く、2 似た物は載せない(出た 6 件のうち 5 件は載せず、1 件は塗りつぶして失敗の例に)、3 頼んだ文を残す(モデルの名前はエラーで止まった 10 件を除く 995 件に残っている)
ハック!でAI 編集部の 3 つの決まりと、2026年10月24日に数えた数字撮影・作図: 編集部

ハック!でAI の編集部の記事では、次の 3 つを決まりにしています。数字は、2026年10月24日に、公開済みの記事と編集部の記録を数えたものです。

AI で作ったと書く。 記事の先頭に、使った道具と日付を書きます。AI で作った絵には「画像生成AIで作成したイメージ」と出る印を付けるか、図の中に「絵は画像生成 AI の出力」と書きます。載せた音声と動画の 236 本には、すべて何で作ったかを付けています。

左は本番の記事のページをスマホの幅で撮った画像。架空の女性の設定画の下に、キャプション「みどりの設定画(AI で生成)。このあとの絵は、この 1 枚を見本に渡して作った」と、小さな字の「画像生成AIで作成したイメージ」がある。右に 3 つの説明。1 キャプションに何の絵かと AI で生成を書く。2 AI で作った絵の印を付けると、画像生成AIで作成したイメージと自動で出る。3 記事の先頭に使ったモデル・品質・作った日を書く左は本番の記事のページをスマホの幅で撮った画像。架空の女性の設定画の下に、キャプション「みどりの設定画(AI で生成)。このあとの絵は、この 1 枚を見本に渡して作った」と、小さな字の「画像生成AIで作成したイメージ」がある。右に 3 つの説明。1 キャプションに何の絵かと AI で生成を書く。2 AI で作った絵の印を付けると、画像生成AIで作成したイメージと自動で出る。3 記事の先頭に使ったモデル・品質・作った日を書く
連載の第 2 回の 1 枚。キャプションと、その下に自動で出る「画像生成AIで作成したイメージ」の表示撮影・作図: 編集部

似た物は載せない。 お題には、実在の人物・既存のキャラクター・会社のロゴを入れません。人物は、架空の人と分かるように頼みます。それでも、公開済みの 3 本の記事で、のべ 6 件、ロゴや商標・既存の作品の印に似た物が出ました。5 件は載せず、1 件は塗りつぶして「うまくいかなかった例」として載せています。

頼んだ文を残す。 編集部の共通の道具で作った公開済みの記事は 28 本、その記録は 1,005 件でした。1,005 件すべてに、頼んだ文(文字起こしは渡したファイル)・日時・費用が残っています。モデルの名前は、エラーで止まった 10 件を除く 995 件に残っています。記録は、作るときの道具が 1 件ごとに自動で書いています。

数えて分かったこと

確かめたことは、指示に「ロゴを入れない」と書いても、似た物が出ることがある点です。6 件のうち 5 件は、文に「no text, no logos」(字もロゴも入れない)と書いていました。出たかどうかは、指示の文を読み返しても分かりません。公開の前に、人が 1 枚ずつ、動画はコマを送って見る手順が要ります。

記録は、道具が自動で書くので、頼んだ文と日時の抜けはありませんでした。手で書く記録と比べてはいませんが、作る道具の側で残す形にすると、抜けにくいと編集部は考えています。

仕事での使いどころ: 場面ごとに確かめる所が違う

  • 店の告知・チラシの画像: ロゴ・商標と実在の人に似ていないか。人に投稿を頼むなら、広告の表示。
  • ブログ・社内報のアイキャッチ: 既存のキャラクターや作品に似ていないか。出し先の決まり。
  • 取引先に納める文章・デザイン・コード: 契約の前に、AI を使ったことと、著作物として扱えるかを相手と確かめる。
  • 動画の BGM・ナレーション: 無料のプランで作った音を商用に使えるか(ElevenLabs は利用規約と音楽の規約で書き方が違うので、使う前に確かめる)。実在の人の声に似せない。
  • 社内だけの資料: チェックリストは、作ることと、配信や譲渡などで使うことは、判断が異なり得るとしています。あとで外に出すときに、改めて確かめます。

気をつけること

  • 規約は変わります。この記事の表は、2026年10月24日に確かめた版です。使う日の版を読み、保存してください。
  • 同じ会社でも、機能ごとに追加の規約があります。ElevenLabs は、一部のサービスに Service-Specific Terms などを定めています。Adobe Firefly の中で選べるほかの会社のモデル(パートナーモデル)に、FAQ の商用の説明が同じく当てはまるかは、確かめていません。
  • 4 つを確かめても、問題が起きないとは言い切れません。売る物・広告・納品物など、お金や契約がかかわる物は、専門家に確かめてから使ってください。
確かめ方の補足

OpenAI・Midjourney の規約のページと、Adobe の FAQ・生成 AI のガイドラインは、公式のサイトが編集部の環境からの読み込みを断ったため、直接開けませんでした。そのため、ウェブアーカイブ(Internet Archive の Wayback Machine)に保存された写しで確かめています。OpenAI の利用規約は英語版が 2026年10月17日、日本語版が 9月23日、Services Agreement は 10月23日、Midjourney は 10月10日、Adobe の FAQ は 10月5日、ガイドラインは 10月17日に保存されたものです。保存の日より後に変わっていれば、この記事の表と違うことがあります。Adobe の General Terms of Use は、Adobe のページが表示に使う本文のファイルを読んで確かめました。

次にやること: 早見の表を手元に置く

2 列のチェックリスト。作る前の 5 つは、規約: 使う道具の出力の権利と商用の条件を読んだ、権利: 作品名・キャラクター名・実在の人の名前を指示に入れていない、権利: 他人の画像・文章・声を入れていない(入れるなら許諾が要らないか確かめた)、機密: 入れる物に社外秘や個人情報が入っていない、記録: 頼んだ文・道具とモデル・日時を残す形にした。公開の前の 5 つは、権利: 既存の作品・ロゴ・実在の人に似ていないか画像検索などで調べた、権利: 頼んでいない字・ロゴ・人が出ていないか 1 枚ずつ見た、表示: 出し先の決まりを出す日に読んだ、表示: AI で作ったこと・広告であることを見る人に分かるように書いた、記録: 読んだ規約の版、調べた結果、公開した場所を記録に足した2 列のチェックリスト。作る前の 5 つは、規約: 使う道具の出力の権利と商用の条件を読んだ、権利: 作品名・キャラクター名・実在の人の名前を指示に入れていない、権利: 他人の画像・文章・声を入れていない(入れるなら許諾が要らないか確かめた)、機密: 入れる物に社外秘や個人情報が入っていない、記録: 頼んだ文・道具とモデル・日時を残す形にした。公開の前の 5 つは、権利: 既存の作品・ロゴ・実在の人に似ていないか画像検索などで調べた、権利: 頼んでいない字・ロゴ・人が出ていないか 1 枚ずつ見た、表示: 出し先の決まりを出す日に読んだ、表示: AI で作ったこと・広告であることを見る人に分かるように書いた、記録: 読んだ規約の版、調べた結果、公開した場所を記録に足した
作る前と公開の前に使う、早見のチェックリスト撮影・作図: 編集部

作る前に左の 5 つ、公開の前に右の 5 つを確かめます。迷った項目があれば、その節に戻ってください。

今日やる 1 つは、いちばんよく使う AI の道具の規約を開き、出力と商用の利用の所を読んで、日付を付けて保存することです。

連載「AIで作る」のほかの回では、アプリ・漫画・3D などを実際に作っています。作る前に、この早見の表で 4 つを確かめてください。

参考にした公式の情報

連載・作ってみた AIで作る

連載はここまでです

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。気になった回は、何度でも読み返せます。

XFacebookはてブLINE

執筆者

佐々木 航@w_sasaki

with Claude Code

プロフィール

株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。