この記事でわかること
- 侵害かを分ける「類似性」と「依拠性」と、避けたい入れ方
- 6 つの道具の規約にある、出力の権利と商用の条件
- 表示と記録の決まりと、作る前・公開の前の早見表
確認した環境: 文化庁・内閣府・総務省・経済産業省・消費者庁の資料、OpenAI・Google・Anthropic・Adobe・Midjourney・ElevenLabs の規約、編集部の生成の記録(公開済みの 28 本・1,005 件)/ 2026年10月24日に確認
来週のお店の告知に、AI で作ったイラストを載せたい。取引先に出す資料に、AI が書いた文章とコードを入れたい。そのとき「これは使っていいのか」と迷ったら、確かめることは 4 つです。

権利(既存の作品・ロゴ・実在の人に似ていないか)、規約(使った道具が、出力と商用の利用をどう定めているか)、表示(AI で作ったこと・広告であることを示す場面か)、記録(頼んだ文と日付を残したか)です。この記事では、官公庁の資料と 6 つの道具の規約の言葉で、4 つの確かめ方をまとめます。
連載「AIで作る」の第 8 回です。これまでの回で作ったアプリ・漫画・3D などのどれにも、この 4 つは共通します。
先に答え: 4 つを、作る前と公開の前に確かめる


- 権利: 著作権の侵害かどうかは、AI を使っても、従来と同じく「類似性」と「依拠性」で考えるとされています。作品名やキャラクターの名前、他人の絵を入れると、依拠性が認められやすくなります。
- 規約: 確かめた 6 つの道具の規約に、出力の権利を道具の会社のものとする定めは見当たりませんでした。ただし、会社の売上・無料か有料か・ベータ版や試用かで、条件が付く道具があります。
- 表示: OpenAI と Google の規約は、AI の出力を人が作ったように見せることを禁じています。出し先の決まりと広告の決まりでも、表示が要る場面があります。
- 記録: 文化庁の資料は、プロンプトなど生成の過程を確かめられる状態にしておくよう努めることが望まれる、としています。
なぜ迷うのか: 「著作権がない」と「使ってよい」は別の話
よく聞く迷いは、次の 3 つです。
- AI で作った物には著作権がないから、自由に使える
- 有料のプランなら、何に使ってもよい
- 規約に「あなたが所有します」とあるから、安心
どれも半分だけ合っています。AI で作った物が著作物になるかと、他人の著作権を侵害していないかは、別の問題です。文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)も、この 2 つを混同しないよう、社内で著作権の理解を確かめておくことを挙げています。
規約の「所有」も、ほかの人の権利を消すものではありません。たとえば Midjourney の規約は、所有が「the rights of any third-parties」(第三者の権利)に従う、と書いています。
権利: 作る前に、入れる物を確かめる
侵害かどうかは「似ている」と「もとにした」で決まる


文化審議会の小委員会がまとめ、文化庁が公開している「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)は、AI で作った物も、既存の著作物との「類似性及び依拠性が認められれば」侵害になり得るとしています。人が AI を使わずに作るときと、同じ考え方です。
利用者が既存の作品を知っていて似た物を作らせた場合は、依拠性が認められるとしています。例として挙げているのは、Image to Image(画像を指示として入れて画像を作ること)と、作品の題名などの固有名詞を入れることです。チェックリストは、キャラクターの名前も例に入れています。
知らない作品でも、安心はできません。学習のデータにその作品が入っていて、似た物ができた場合は「通常、依拠性があったと推認され」るとされています。故意も過失も認められない場合、損害賠償や刑事罰の対象にはならないと考えられていますが、使うのをやめるよう求められること(差止請求)や、使用料に当たる額を返すよう求められること(不当利得の返還)はあり得るとされています。
作風(絵柄や文体の雰囲気)が共通するだけなら、侵害にはならないとされています。ただし、作品の表現そのものが直接感じ取れるほど似ていれば、侵害に当たり得ます。
著作権のほかにも、似せてはいけない物がある


内閣府の「AI 時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(2024年5月)は、商標権(ロゴ・商品名)と意匠権(物や画面のデザイン)の侵害には、いわゆる「依拠性」は不要だとしています。もとにしていなくても、登録された物と同じか似ていて、商標なら同じか似た商品・サービスに、意匠なら仕事として使えば、侵害になり得るということです。
実在の人の顔と声には、肖像権とパブリシティ権がかかわります。同じ資料は、声も広告に使う場合などに、パブリシティ権で守られ得ると整理しています。
入れる物の中に、社外秘や個人情報がないかは、別に確かめます。考え方は個人情報や機密を AI に貼るのは、本当にダメ? 法律・契約・技術に分けて考えるで整理しています。
AI で作った物が「著作物」になるとは限らない


文化庁の考え方は、AI への指示が「表現に至らないアイデアにとどまる」場合は、著作物と認められないとしています。試した回数が多いことや、たくさんの中から選んだことだけでは、判断に影響しないとされています。
一方で、人が創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物と認められるとしています。著作物であることを前提に取引する場合は、AI を使ったことや著作物かどうかを、相手に適切に説明することが求められる、とチェックリストは書いています。
規約: 使う道具の「出力」と「商用」の条文を読む
6 つの道具で、出力の権利と条件を比べる




確かめたのは、OpenAI・Google・Anthropic・Adobe(Firefly)・Midjourney・ElevenLabs の規約です。言い方は「所有する」「所有権を主張しない」「権利があれば譲る」と違いますが、出力の権利を道具の会社のものとする定めは見当たりませんでした。
条件が付くのは、次の場面です。
- 会社で使う: Midjourney は、年の売上が 100 万米ドルを超える会社とその従業員が所有するには、Pro か Mega のプランが必要だとしています。あとでプランを下げても、作った物の所有は続くと書いています。
- 無料で使う: ElevenLabs の利用規約は、無料の利用者は非商用の目的だけに使える、としています。一方、音楽(Eleven Music)の規約の表は、無料でも映画・テレビ・ラジオなどを除く商用の利用を認める書き方で、2 つの規約の書き方は違って見えます(原文は第 7 回「AI 作曲で BGM と歌を作る」に並べました)。無料で作った物を仕事に使う前に、ElevenLabs に確かめてください。有料のプランなら、どちらの規約でも商用に使えます。
- 試用・ベータの機能: Adobe は、試用(trial)などと指定された版で作った物を、商用に使うことを禁じています。Firefly の FAQ は、ベータ表示のない機能の出力は商用に使え、ベータの機能も製品内に別の記載がなければ使える、としています。Anthropic の個人向けの規約にも、試用(evaluation)の利用は個人の非商用に限る、という定めがあります。
- 公開の設定: Midjourney は、作った物が既定で公開され、ほかの人が使い、作り変えられるとしています。Pro と Mega のプランで Stealth の機能を使えば、公開しないよう努める、としています。
「所有」でも、ほかの人に同じような物が出ることがある
OpenAI の規約は、出力は「特有のものではない場合があり」、他のユーザーが同様の出力を受け取る場合がある、と書いています。Gemini API の追加利用規約も、Google が同一または類似のコンテンツを他者に生成することへの同意を求めています。
ここからは編集部の読み方です。規約の「所有」は、道具の会社と利用者のあいだの約束です。OpenAI と Midjourney は、適用される法律で認められる範囲で、と断っています。
著作物と認められない物は、所有していても、他人がまねるのを著作権で止められない場合があると考えられます。看板のキャラクターのように自分だけの物にしたい絵は、人の手をどう加えるかも含めて、作る前に専門家に相談すると判断しやすくなります。
内容の制限(成人向けなど)も、道具ごとに大きく違います。成人向け(NSFW)の AI 生成: 各社の規約と、認めているサービスの違いで比べています。
表示: 3 つの場面で、AI で作ったこと・広告であることを示す


① 道具の規約: OpenAI の利用規約は、禁止事項に「人が作り出したものではない場合に、アウトプットを人が作り出したものと表示すること」を挙げています。Google の利用規約も「生成 AI のコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為」を禁じています。Adobe は、AI で作った物に付ける来歴の情報(Content Credentials)を、消したり変えたりしてはいけないとしています。しくみはAI 画像の C2PA とは? 確認方法と、自作の C2PA を AI が見抜けるか試したで説明しています。
② 出し先の決まり: YouTube のヘルプは「AI 生成コンテンツまたは改変コンテンツが本物のように見える場合、クリエイターによる開示が必要になります」としています。非現実的なものや軽い編集は、開示しなくてよいとされています。投稿サイト・電子書籍・漫画賞の例は、AI で 4 コマ漫画を作ってみた 任せられることと、人がすることにまとめました。
③ 広告: 消費者庁は、2023年10月1日から、ステルスマーケティングを景品表示法の違反としています。説明は「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すこと」です。AI で作ったかどうかとは別に、広告であることの表示が要ります。
たとえば、AI で書いた紹介文をインフルエンサーに渡して投稿してもらう場合です。消費者庁は、企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも広告に含まれる、と説明しています。
運用基準は、自社のサイトでも、第三者の意見のように見えて実際は自社が作った文には、自社の表示であることを明瞭に示すよう求めています。AI に「お客さまの声」のような文を書かせて載せるときは、この点に当たらないか確かめます。
総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日)も、生成物の利用に人の判断をはさむ工夫の例に「生成物であることを示す透かしを入れること」を挙げています。
記録: 頼んだ文と日付を、1 件ずつ残す


文化庁のチェックリストは、依拠性がないことを説明できるよう、「生成に用いたプロンプト等、生成物の生成過程を確認可能な状態にしておくよう努めることが望まれます」としています。著作物かどうかを説明する観点でも、プロンプトなどを確かめられるようにしておくことが望まれる、としています。
AI事業者ガイドラインは、AI を仕事で使う側に、提供された文書を保管・活用することと、サービスの規約を守ることを挙げています。規約は変わるので、使った日の版を保存しておくと、あとで「その日の決まり」を確かめられます。
編集部の運用: ハック!でAI の記事でしていること


ハック!でAI の編集部の記事では、次の 3 つを決まりにしています。数字は、2026年10月24日に、公開済みの記事と編集部の記録を数えたものです。
AI で作ったと書く。 記事の先頭に、使った道具と日付を書きます。AI で作った絵には「画像生成AIで作成したイメージ」と出る印を付けるか、図の中に「絵は画像生成 AI の出力」と書きます。載せた音声と動画の 236 本には、すべて何で作ったかを付けています。


似た物は載せない。 お題には、実在の人物・既存のキャラクター・会社のロゴを入れません。人物は、架空の人と分かるように頼みます。それでも、公開済みの 3 本の記事で、のべ 6 件、ロゴや商標・既存の作品の印に似た物が出ました。5 件は載せず、1 件は塗りつぶして「うまくいかなかった例」として載せています。
頼んだ文を残す。 編集部の共通の道具で作った公開済みの記事は 28 本、その記録は 1,005 件でした。1,005 件すべてに、頼んだ文(文字起こしは渡したファイル)・日時・費用が残っています。モデルの名前は、エラーで止まった 10 件を除く 995 件に残っています。記録は、作るときの道具が 1 件ごとに自動で書いています。
数えて分かったこと
確かめたことは、指示に「ロゴを入れない」と書いても、似た物が出ることがある点です。6 件のうち 5 件は、文に「no text, no logos」(字もロゴも入れない)と書いていました。出たかどうかは、指示の文を読み返しても分かりません。公開の前に、人が 1 枚ずつ、動画はコマを送って見る手順が要ります。
記録は、道具が自動で書くので、頼んだ文と日時の抜けはありませんでした。手で書く記録と比べてはいませんが、作る道具の側で残す形にすると、抜けにくいと編集部は考えています。
仕事での使いどころ: 場面ごとに確かめる所が違う
- 店の告知・チラシの画像: ロゴ・商標と実在の人に似ていないか。人に投稿を頼むなら、広告の表示。
- ブログ・社内報のアイキャッチ: 既存のキャラクターや作品に似ていないか。出し先の決まり。
- 取引先に納める文章・デザイン・コード: 契約の前に、AI を使ったことと、著作物として扱えるかを相手と確かめる。
- 動画の BGM・ナレーション: 無料のプランで作った音を商用に使えるか(ElevenLabs は利用規約と音楽の規約で書き方が違うので、使う前に確かめる)。実在の人の声に似せない。
- 社内だけの資料: チェックリストは、作ることと、配信や譲渡などで使うことは、判断が異なり得るとしています。あとで外に出すときに、改めて確かめます。
気をつけること
- 規約は変わります。この記事の表は、2026年10月24日に確かめた版です。使う日の版を読み、保存してください。
- 同じ会社でも、機能ごとに追加の規約があります。ElevenLabs は、一部のサービスに Service-Specific Terms などを定めています。Adobe Firefly の中で選べるほかの会社のモデル(パートナーモデル)に、FAQ の商用の説明が同じく当てはまるかは、確かめていません。
- 4 つを確かめても、問題が起きないとは言い切れません。売る物・広告・納品物など、お金や契約がかかわる物は、専門家に確かめてから使ってください。
確かめ方の補足
OpenAI・Midjourney の規約のページと、Adobe の FAQ・生成 AI のガイドラインは、公式のサイトが編集部の環境からの読み込みを断ったため、直接開けませんでした。そのため、ウェブアーカイブ(Internet Archive の Wayback Machine)に保存された写しで確かめています。OpenAI の利用規約は英語版が 2026年10月17日、日本語版が 9月23日、Services Agreement は 10月23日、Midjourney は 10月10日、Adobe の FAQ は 10月5日、ガイドラインは 10月17日に保存されたものです。保存の日より後に変わっていれば、この記事の表と違うことがあります。Adobe の General Terms of Use は、Adobe のページが表示に使う本文のファイルを読んで確かめました。
次にやること: 早見の表を手元に置く


作る前に左の 5 つ、公開の前に右の 5 つを確かめます。迷った項目があれば、その節に戻ってください。
今日やる 1 つは、いちばんよく使う AI の道具の規約を開き、出力と商用の利用の所を読んで、日付を付けて保存することです。
連載「AIで作る」のほかの回では、アプリ・漫画・3D などを実際に作っています。作る前に、この早見の表で 4 つを確かめてください。
参考にした公式の情報
- 文化庁「AIと著作権について」
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AI と著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AI と著作権に関する考え方について」【概要】
- 文化庁著作権課「AI と著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)
- AI 時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」(2024年5月)
- 総務省「AI事業者ガイドライン」掲載ページ
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編(令和8年3月31日)
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
- 消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」
- OpenAI「利用規約」(2026年1月1日発効)
- OpenAI「Services Agreement」(2026年1月1日発効)
- Google「Google 利用規約」(2026年7月30日発効)
- Google「Gemini API 追加利用規約」(2026年3月23日から有効)
- Anthropic「Consumer Terms of Service」(2025年10月8日発効)
- Anthropic「Commercial Terms of Service」(2025年6月17日発効)
- Adobe「General Terms of Use」(2025年10月3日発効)
- Adobe「Adobe Firefly FAQ」(2026年5月13日更新)
- Adobe「Adobe Generative AI User Guidelines」(2026年5月15日更新)
- Midjourney「Terms of Service」(2026年5月27日発効)
- ElevenLabs「Terms of Service」(2026年10月9日更新)
- YouTube ヘルプ「生成 AI コンテンツの使用に関する開示」

連載・作ってみた AIで作る
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。