AIで作る 第1回
AI でアプリを作って、ストアに出すまで 日数・費用・審査でつまずく所

この記事でわかること
- 試作から公開までの流れと、AI に任せられること・人がすること
- 登録・テスト・審査の日数と費用(公式の目安と実際の記録)
- 審査でつまずく所と、公開する前の守り方のチェックリスト
確認した環境: Apple Developer・Play Console ヘルプ・各道具の公式の料金ページと規約 / 編集部の運営会社の作業の記録(2026年9月23日〜10月6日)/ 2026年10月12日に確認
AI にコードを書かせると、アプリの試作は、早ければ数時間から数日でできます。ただし公開までには、AI に任せられない手続きがあります。この記事では、試作から公開までの順番を、日数と費用で示します。もとにしたのは、Apple と Google の公式の情報(2026年10月12日に確認)と、編集部の運営会社が自社のアプリを 2 つのストアに出したときの記録です。

AI に任せられること・人がすること
Claude Code のような AI のコーディングの道具は、コードを書き、動かして、直します。編集部では、社内で使う表計算の仕組みを約 3 時間 40 分で作りました(自作で脱 SaaS はできる?に記録があります)。試作は、たしかに早くできます。
公開までの手続きは、AI に任せられることと、人がすることに分かれます。

- AI に任せられること: コードを書く・直す。ストアへの説明文やスクリーンショットの登録。申告の下書きと入力。
- 人がすること: 本人の確認、契約への同意、支払い。テスターを集めること。集めるデータの申告が事実かを確かめること。審査に出すと決めること。
編集部の運営会社でも、ストアへの登録や送信は AI の道具が操作し、審査に出すかどうかは人が決めました。AI にどこまで確認なしで任せるかは、AI コーディングの道具を安全に使うで説明しています。
Web アプリ: 動く場所に置けば公開できる
Web アプリには、ストアの審査がありません。インターネットから届く場所に置けば、公開できます。
- 道具の置き場を使う: Lovable や Replit のように、作る道具が置き場も持っている場合は、その道具の公開の機能で出せます。
- 自分で借りた場所に置く: Node.js(サーバーで JavaScript を動かす仕組み)のように常に動くプログラムは、レンタルサーバーより、VPS(借りて使う仮想のサーバー)やアプリの公開サービスが向いています。置き場の選び方はWeb はレンタルサーバーで十分。足りなくなる 4 つの場面に、VPS で AI の道具を動かす方法はサーバーで AI を動かすメリットとは?にまとめています。
人がすることは、サーバーやドメインの契約と、だれが見られるかを決めることです。
スマホアプリ: 登録からテスト・審査まで
開発者の登録
App Store に出すには Apple Developer Program に、Google Play に出すには Play Console に登録します。

- 個人で登録すると、名前が出ます。 App Store では、本名がアプリの販売元として表示されます。Google Play では、氏名・国・メールアドレスが公開されます。
- 会社で登録するには、D-U-N-S 番号(会社を見分ける 9 桁の番号)が要ります。 申し込みは無料です。Apple は、番号を受け取るまで最大 5 営業日、Apple に情報が届くまで最大 2 営業日としています。Google は、30 日ほどかかる場合もあると案内しています。会社で出すなら、最初に申し込みます。
テスト: Google Play の個人用のアカウントは 12 人・14 日
2023年11月13日以降に作った Google Play の個人用のアカウントには、公開の前のテストの条件があります。

- 12 人以上のテスターが、14 日間続けて参加します。途中で抜けた人は、数に入りません。
- 条件を満たしたら、製品版へのアクセスを申請します。この申請の審査は、通常 7 日以内です。
- このページが対象にしているのは、個人用のアカウントです。組織のアカウントについての記述はありません。
App Store には、このような人数や日数の条件は案内されていません。テスト用の TestFlight では、開発チームの 100 人までと、外部の 1 万人までに配れます。外部に配る最初のビルド(アプリとしてまとめたもの)は、審査を受けます。
審査の目安

Apple は、提出の 5 割以上を 24 時間未満で、9 割を 48 時間未満で審査していると説明しています。Google Play は、一部のアカウントの審査に時間をかけることがあり、最大で 7 日程度、例外的にもっとかかる場合もあるとしています。

編集部の運営会社の記録: 審査に出してから公開まで
編集部の運営会社は、2026年9月から10月に、自社のアプリを App Store と Google Play に出しました。作業の記録に残っている日付は、次のとおりです。

App Store は、送信から最初の連絡まで 8 日かかりました。出し直してからは、2 日で通っています。公式の目安より長くかかることもある、という例です。Google Play は組織のアカウントで、内部テスト(最大 100 人に配れるテスト)から製品版の審査に進みました。
つまずいた所は、6 つありました。

- ① 説明文: 却下の理由は、説明文の「つなげる相手」の一覧に、ほかの OS の名前を書いていたことだけでした。説明文を直し、アプリの本体は変えずに出し直しました。
- ② 配信する国・地域: 設定していなくても審査には出せて、通りました。設定してから 1 時間半ほどで、ストアのページが開けるようになりました。
- ③ プライバシーの申告: 掲載の文・価格・スクリーンショットの登録と、審査への送信は、AI の道具が Apple の API(プログラムから操作する窓口)で行いました。「App のプライバシー」だけは API がなく、Web の画面で入力しました。
- ④ スクリーンショット: 6.9 インチの iPhone と 13 インチの iPad の大きさで用意しました。手元の実機では足りず、シミュレータ(パソコンの中で動かす仮の iPhone)で撮りました。
- ⑤ 動画: Google Play では、画面を写す機能などの申告に、使い方を見せる動画を付けました。
- ⑥ 権限: 録音の権限を足したところ、マイクのない 12 機種が対象から外れる、という警告が出ました。
審査の決まり: AI で作ったアプリは落ちるのか
編集部が確かめた範囲では、作るのに AI を使ったことを申告させる決まりも、それを理由に断る決まりも、見当たりませんでした。Apple の審査ガイドライン(2026年6月8日更新)の本文で AI に触れているのは、個人データを外部の AI と共有するときの決まり(5.1.2(i))です。Google Play の AI 生成コンテンツのポリシーは、アプリの中で AI が文章や画像を作る場合の決まりです。

Apple によると、解決していない指摘の 4 割ほどは「2.1 アプリの完全性」に関するものです。クラッシュ、仮の文言、足りない情報などが当たります。審査に出す前に、次の点を確かめます。
- ダミーのデータや仮の文言が残っていないか
- アカウントを作れるなら、削除の機能もあるか(Google Play は、Web からの削除の受け付けも要ります)
- 外部の AI に個人データを送るなら、先に許可を得る画面があるか
- 集めるデータの申告(App のプライバシー、データ セーフティ)に、外部の SDK(組み込んだ他社の部品)が集める分も入っているか
費用: 登録料・道具・手数料

登録料と道具の月額のほかに、ビルドとデータベースの費用を見込みます。Expo(1 つのコードから Android・iOS・Web のアプリを作る仕組み)の EAS(ビルドと提出を受け持つサービス)は、無料のプランで月に Android 15 回・iOS 15 回のビルドができます。公式は、EAS を使えば Mac がなくても iOS のアプリを提出できると説明しています。
作る道具は、料金のほかに、コードを持ち出せるかと、入力した内容の扱いを先に確かめます。

道具そのものが終わることもあります。Google の Firebase Studio は、2026年6月22日に新しい利用の受け付けを止めました。2027年3月22日に終了し、残ったデータは消える、と公式に案内しています。
売上にかかる手数料
物の販売や、配達・予約のようにアプリの外で受けるサービスの代金には、ストアの課金を使いません。有料の機能や定期購入をアプリの中で売ると、手数料がかかります。
- App Store(日本): 手数料 21% と、Apple の決済を使う場合の決済手数料 5% です。Small Business Program(前の年の収益が 100 万ドル以内などの条件)の参加者と、2 年目以降の定期購入は、10% と 5% です。
- Google Play(日本): 2026年9月30日から、新しい率になりました。年間の収益のうち 100 万ドルまでの分は 10% です。標準の率は、定期購入の自動更新が 10%、そのほかの取引が 20%(この日より前にアプリを入れた人との取引は 25%)です。どれも、Google Play の課金を使うと請求手数料 5% が加わります。
最新の率は、Apple の「日本でのアプリ配信」と Google Play の「サービス手数料」で確かめてください。
事故の例と、守り方のチェックリスト
AI で作ったアプリや、作る道具で起きた事故のうち、当事者が公式に発表しているものを 2 つ挙げます。
- 本番のデータベースが消えた(2025年7月): SaaStr は、自社のコミュニティ向けに作っていたアプリで、Replit の AI のエージェントが本番のデータベースを消した、と自社のサイトで報告しました。消えたのは、1,206 人分の役員の記録と、1,196 社以上の記録です。AI は初め「戻せない」と答えましたが、巻き戻しの機能は使えた、とも書いています。Replit は同じ月に、それまで開発用と本番で 1 つだったデータベースを分ける変更を発表しました。いまの公式のドキュメントには、Agent は本番のデータベースを変更できない、とあります。
- 会話とコードを、ほかの利用者が見られる状態だった(2026年2月〜4月): Lovable は公式のブログで、2026年2月3日から4月20日まで、公開の設定のプロジェクトの会話の履歴とソースコードを、リンクを知っている Lovable の利用者が見られる可能性があった、と発表しました。非公開のプロジェクトは影響を受けていない、としています。
どちらも、コードの出来とは別の所で起きています。公開する前に、次の 4 つを確かめます。

- 鍵: Supabase(データベースのサービス)の公式のドキュメントは、公開用のキーはアプリに入れてよく、秘密のキーはサーバーの側だけで使う、としています。秘密のキーは、行ごとの権限を飛び越えるためです。会話やコードに貼ったキーは、Lovable の例のように、思わぬ相手に見えることがあります。
- 権限: 同じドキュメントは、外に公開する範囲の表では、すべて行ごとの権限(RLS)をオンにするよう求めています。オフの表は、その表を使える役割なら、どれでも読み書きできるためです。
- バックアップ: Supabase の無料のプランには、自動のバックアップが含まれません。Pro では、毎日のバックアップが 7 日分残ります。
- 点検: Lovable の公式のドキュメントは、道具の点検の機能は十分なセキュリティの確認の代わりにはならず、責任は作った人にある、としています。
AI の道具に API キーや .env を読ませない設定は、AI コーディングの道具を安全に使うで説明しています。
公開したあとも続くこと
- 年会費: Apple の登録が切れると、アプリはダウンロードできなくなり、更新も出せません(すでに入れている人は使えます)。
- 毎年の期限: Google Play は 2026年8月31日から、新しいアプリと更新に、Android 16(API レベル 36)以降を対象にすることを求めています。Apple は 2026年4月28日から、Xcode 26 以降で作ったアプリだけを受け付けています。
- 直す人: 更新のたびに審査があります。作ったあとの「直す」費用の考え方は、自作で脱 SaaS はできる?に書きました。
まとめ
参考にした公式の情報
- Apple Developer「App Review ガイドライン」(2026年6月8日更新)
- Apple Developer「App Review」(審査の目安・よくある指摘)
- Apple Developer「登録」(Apple Developer Program の登録料と条件)
- Apple Developer「D-U-N-S番号」
- Apple Developer「日本でのアプリ配信」(手数料)
- Apple Developer「App Store での App のプライバシーに関する詳細情報の表示」
- Apple Developer「TestFlight」
- App Store Connect ヘルプ「Screenshot specifications」
- Apple Developer「Upcoming Requirements」
- Apple Developer「Membership renewal」
- Play Console ヘルプ「新しい個人用デベロッパー アカウント向けのアプリテスト要件」
- Play Console ヘルプ「Play Console の利用を開始する」(登録料)
- Play Console ヘルプ「Play Console デベロッパー アカウントに必要な情報」(D-U-N-S ナンバー・公開される情報)
- Play Console ヘルプ「審査のためにアプリを準備する」
- Play Console ヘルプ「オープンテスト版、クローズド テスト版、内部テスト版をセットアップする」
- Play Console ヘルプ「サービス手数料」
- Play Console ヘルプ「Google Play のサービス手数料引き下げについて」
- Play Console ヘルプ「お支払い」(ポリシー)
- Play Console ヘルプ「AI 生成コンテンツ」(ポリシー)
- Play Console ヘルプ「Google Play のデータ セーフティ セクションの情報を提供する」
- Play Console ヘルプ「Google Play のアプリ アカウントの削除要件について」
- Play Console ヘルプ「機能、コンテンツ、ユーザー エクスペリエンス」(ポリシー)
- Play Console ヘルプ「スパム」(ポリシー)
- Play Console ヘルプ「フォアグラウンド サービスの要件について」
- Play Console ヘルプ「Google Play アプリの対象 API レベルに関する要件」
- Lovable ドキュメント「Compare plans」
- Lovable ドキュメント「Security」
- Lovable ブログ「Our response to the April 2026 incident」(2026年4月22日)
- Bolt.new「Pricing」
- StackBlitz「Terms of Service」(Bolt.new の規約・2026年9月14日公開)
- Replit「Pricing」
- Replit ドキュメント「Build a mobile app」
- Replit ブログ「Introducing a safer way to Vibe Code with Replit Databases」(2025年7月21日)
- Replit ドキュメント「Development and production databases」
- SaaStr「Replit's New Release Addressed Most of The Challenges We Hit Vibe Coding」(2025年8月2日)
- FlutterFlow「Pricing」
- Firebase ドキュメント「Firebase Studio sunset and project migration」
- Claude の料金
- Expo「Pricing」
- Supabase「Pricing」
- Supabase ドキュメント「Row Level Security」
- Supabase ドキュメント「Understanding API keys」
- WebKit ブログ「Web Push for Web Apps on iOS and iPadOS」
- 税関「外国為替相場(2026年10月11日〜10月17日)」
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
連載
AIで作る全 4 回の目次
- 1AI でアプリを作って、ストアに出すまで 日数・費用・審査でつまずく所(この記事)
- 2AI で 4 コマ漫画を作ってみた 任せられることと、人がすること
- 3AI に Blender を使わせて商品画像を作る 画面なしで 9 枚描いて測った
- 4AI で自動売買の仕組みは作れる。でも検証の成績は当てにならない 乱数で確かめた