AIで作る 第2回
AI で 4 コマ漫画を作ってみた 任せられることと、人がすること

この記事でわかること
- 設定画を先に作り、毎回渡して 4 コマを描かせる手順
- 失敗の例と、吹き出しの字を描かせる・あとから入れるの比較
- 15 枚の時間と費用、公開前に確かめる規約と著作権
確認した環境: OpenAI Image API の gpt-image-2.5-sunburst(品質 high)/ 2026年9月29日と10月12日に生成 / 料金と規約は 2026年10月12日に確認
絵が描けなくても、AI で 4 コマ漫画は作れるのでしょうか。編集部では、架空の会社員が主人公の 4 コマを、画像の生成 AI で実際に作りました。この記事では、設定画を作ってから 4 コマに仕上げるまでの手順と、うまくいかなかった例、かかった時間と費用を、作った絵と一緒に紹介します。
完成した 4 コマ

主人公は、小さな会社で事務をしている「みどり」です。AI に集計を任せて得意になり、同僚に数字のおかしさを指摘される、という話にしました。
4 コマを作った手順

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話と台詞を決める
コマごとに、場面と台詞を文章にしました(手順 3 の指示の中の 4 行です)。台詞は 8〜18 字と短くしています。
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人物の設定画を 1 枚作る
先に、見た目の目印を 5 つ決めました。ボブの髪・丸眼鏡・カーディガン・名札・左目の下のほくろです。この目印を文章で伝え、全身の正面と横、表情 4 つを 1 枚にまとめた絵を頼みました。絵が返るまで約 26 秒でした。

みどりの設定画(AI で生成)。このあとの絵は、この 1 枚を見本に渡して作った画像生成AIで作成したイメージ -
設定画を渡して、4 コマを描かせる
設定画の画像と、次の指示を一緒に送りました。実際の指示は英語で書き、台詞だけを日本語のまま「」に入れています。
縦長の 4 コマ漫画のページ。同じ大きさの 4 コマを上から下へ並べる。 見本の設定画と同じ人物(みどり。顔・眼鏡・髪型・ほくろ・服はそのまま)。 短いツンツンした髪の若い男性の同僚が、1 コマ目と 3 コマ目に出る。 1 コマ目: 事務所で、同僚がモニターの表を見て聞く「今月の請求書、まだ手で集計してるの?」 2 コマ目: みどりが得意げにノートパソコンを見せる「AI に頼んだら、5分で終わりました!」 3 コマ目: 同僚が目を細めてパソコンを見る「…合計、先月と同じ数字じゃない?」 4 コマ目: みどりが青ざめ、汗をかいて電卓をつかむ「確かめてきます…」 白黒の漫画の線画に薄いグレーのトーン。コマの枠ははっきり。色は付けない。 台詞はすべて吹き出しの中に、「」のとおりの日本語で書く(「」は描かない)。 ほかの文字・サイン・透かしは入れない。 ロゴ・商標・ブランド名・実在の商品・実在の人物・既存のキャラクターは描かない。 画面や書類には、表や灰色の帯のような、ありふれた形だけを描く。 台詞はすべて縦書きにする。最後の 3 行は、10月12日に足した文です。
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1 コマずつ拡大して見る
見たのは、台詞の字と向き、吹き出しがだれの台詞か、ロゴなどの頼んでいない物、顔の目印、手と小物です。
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直す
直し方は 3 つ試しました。指示に文を足して作り直す、できた絵を渡して一部だけ直させる、字をあとから入れる、の 3 つです。
設定画を見本に渡した絵は 9 枚あります。顔の目印と服は、9 枚とも設定画のとおりでした。指の数が違うなどの手の崩れも、15 枚の中には見つかりませんでした。

うまくいかなかった例

- 頼んでいないロゴ: 9月29日に作った最初の 4 コマでは、2 コマ目のパソコンの画面に、実在の会社のロゴが描かれました。指示には「ほかの文字・サイン・透かしは入れない」と書いていました。10月12日に同じ指示でもう 1 枚作ると、ロゴは出ませんでした。「ロゴ・商標などは描かない」と足して新しく作った 6 枚にも出ていません。足した文が効いたのかは、この回数では分かりません。
- 吹き出しがだれの台詞か分からない: 空の吹き出しで描かせた 1 枚目は、同僚が聞く場面なのに、吹き出しのしっぽがみどりを指しました。「話すのは同僚だけ。みどりは口を閉じている。しっぽは同僚を指す」と足して作り直すと、直りました。
- 小さな字は読めない形: 電卓のキーと表示は、字に似た形になりました。指示していない小さな字です。
- 見本のない人物は毎回変わる: 同僚は設定画を作らず、文章だけで指示しました。作るたびに、ネクタイの有無や顔つきが変わっています。何度も登場させる人物には、みどりと同じように設定画を用意する方法があります(同僚の設定画は今回作っていないので、効果は確かめていません)。
吹き出しの字は、描かせるか、あとから入れるか
モデルに描かせた結果

- 台詞の字は、直しを含めてのべ 36 個の吹き出しで、誤りが見つかりませんでした。「…」「?」「!」も指示どおりです。49 字の長い台詞と、ホワイトボードの 4 行の字も、正しく描かれました。
- そろわなかったのは向きです。向きを指示しなかった絵は、4 コマが横書き、1 コマだけの絵が縦書きになりました。「台詞はすべて縦書きにする」と足した 3 枚は、すべて縦書きでした。
- 改行の位置は、モデルが決めます。台詞を「すぐ確かめます…」に変えたときは、「すぐ確かめ」「ます…」と、言葉の途中で行が変わりました。
OpenAI の公式のドキュメントは、文字の正確な配置と鮮明さでは、まだ苦戦することがあると説明しています。今回誤りが出なかったことは、次も出ないことを意味しません。作るたびに、全部の字を読んで確かめます。
あとから入れた結果

吹き出しを空のまま描かせ、字は編集部が重ねました。指示には「吹き出しは 1 コマに 1 つ。中は白いまま。絵のどこにも文字を入れない」と書いています。字は、このメディアの図と同じ方法(HTML と CSS)で、縦書きにして吹き出しの位置に置きました。縦書きの字を置ける道具なら、何を使ってもかまいません。
フォントは Noto Sans CJK JP を使いました。SIL Open Font License 1.1 という条件で配られていて、フォントだけを単体で売らないかぎり、自由に使えると定められています。字をあとから入れるときは、使うフォントの利用条件を先に確かめてください。

直しは何回かかったか
4 コマの絵は、合わせて 10 枚作りました。
- 指示を足して作り直す: 最初の 4 コマ(9月29日)は、ロゴが入り、字が横書きでした。10月12日に、同じ指示、「ロゴを描かない」を足した指示、さらに「縦書き」を足した指示で 1 枚ずつ作り、4 枚目が、この記事の最初に載せた 4 コマです。作り直すと、構図ごと変わります。同じ指示で作った 2 枚を比べると、59% の画素で色が変わっていました。
- できた絵を渡して、一部だけ直させる: 最初の 4 コマを渡して「2 コマ目の画面のロゴを消して、棒グラフにする。ほかは変えない」と頼むと、1 回でロゴが消えました。台詞を 1 つ変える直しも、1 回で通りました。
- 字をあとから入れる: 空の吹き出しの絵は、2 枚目で使えるものになりました。
一部だけの直しでも、絵は全体が描き直されます。

見た目はほぼ同じですが、線のふちや背景の模様が少しずつ変わっていました。ロゴを消す直しでも、7.9% の画素で色が変わっています。
一部だけの直しは、合わせて 4 回頼んでいます。ロゴと台詞のほかの 2 回は、編集部の見まちがいでした。拡大した絵を見て、縦書きの「…」の点が横に並んでいると判断し、直しを頼みました。点の位置を画素で数えると、最初から縦に並んでいました。直す所のないこの 2 回でも、8.5% と 9.0% の画素で色が変わっています。直しを頼んだあとは、頼んだ所だけでなく、全部のコマを見直す必要があります。
AI に任せられること・人がすること

絵にする所は、AI に任せられました。人がすることは、次の 3 つでした。
- 決める: 話・台詞・人物の目印です。画像のモデルには考えさせていません。
- 確かめる: ロゴのように指示していない物は、指示の文と照らしても見つかりません。絵の中を 1 コマずつ見ることになります。確かめる側がまちがえることもありました。
- 直し方を決める: 作り直すか、一部を直させるか、字をあとから入れるかで、手間と結果が変わります。
かかった時間と費用

- 絵が返るまでの時間は、1 枚 26〜44 秒でした。15 枚の合計は 9 分 9 秒です。
- 費用は、10月12日の 11 枚で 0.61 ドルでした。1 枚あたり 0.05〜0.07 ドルです。設定画を見本に渡すと、その画像を読み込む分として、1 枚につき約 0.012 ドルが加わります。
- 9月29日の 4 枚は、トークン(AI が文章や画像を区切って数える単位)の数を記録していなかったので、費用を出していません。4 枚とも、10月12日のいちばん高い 1 枚(0.066 ドル)と同じ額だったとしても、15 枚で 1 ドルに届かない計算です。
- 話を考える時間、絵を見る時間、字を置く時間は、計っていません。
単価は変わることがあります。使う前に、OpenAI の料金のページで確かめてください。
公開・投稿の前に確かめること

使った道具の規約
OpenAI の個人向けの利用規約(2026年1月1日発効)は、利用者が「アウトプットを所有します」と定めています。API などの事業者向けの規約(Services Agreement)にも、同じ趣旨の定めがあります。あわせて、次のことも書かれています。
- アウトプットは「特有のものではない場合があり」、ほかの利用者が同様のアウトプットを受け取る場合があります。
- 禁止事項に、他者の権利を侵害する方法で使うことと、「人が作り出したものではない場合に、アウトプットを人が作り出したものと表示すること」があります。
- 利用ポリシー(2025年10月29日発効)は、他者の知的財産権を侵害しようとする使い方と、本人の同意なくその人の姿を使って本物と混同させる使い方を禁じています。
規約は道具ごとに違い、変わることもあります。使う道具の規約を、使う日に読んでください。
確かめ方の補足
OpenAI の規約のページと、日本国際漫画賞の募集要項のページは、編集部の環境から直接開けませんでした。そのため、ウェブアーカイブに保存された写しで確かめています。規約の英語版は 2026年10月8日〜10日、日本語版は 9月23日、募集要項は 5月13日に保存されたものです。
著作権(文化庁の資料)
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」の概要は、「考え方」それ自体は法的な拘束力を持たないと断ったうえで、次のように説明しています。
- AI で作った画像を公開したり売ったりする場合も、著作権の侵害かどうかは、通常と同じ基準で判断されます。既存の著作物と創作的な表現が共通していること(類似性)と、既存の著作物をもとに作ったこと(依拠性)の 2 つです。
- AI で作った物が著作物に当たるかは、別の問題です。人が指示を与えないか、簡単な指示だけで AI が作った物は、著作物に当たらないと考えられています。試した回数が多いことや、選んだことだけでは、判断に影響しません。創作的な表現を具体的に示す詳細な指示は、認められる可能性を高めるとされています。人が創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物と認められます。
同じ文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」は、仕事で AI を使う人に向けて、次の点を挙げています。
- 利用の前に、既存の著作物と似ていないかを確かめることが必要です(インターネットの画像検索など)。
- 既存の作品の題名やキャラクターの名前を指示に入れると、依拠性が認められやすくなると考えられます。
- 既存の画像を見本として入れるときは、目的によって、権利者の許諾が必要になる場合があります。
- 指示の文など、生成の過程を確かめられる状態にしておくことが望まれます。
編集部が、見本に自分で作った設定画だけを使い、作品や作家の名前を指示に入れなかったのは、このためです。ここに書いたのは資料の要点です。自分の作品がどう扱われるかは、弁護士などの専門家に相談してください。
出し先の決まり
AI で作った作品の扱いは、投稿先や賞によって違います。2026年10月12日に確かめた例です。
- pixiv: マンガは、ストーリー・配置・作画などの制作の過程を総合的に見て、すべてかほとんどを AI が生成した作品を「AI生成作品」としています。投稿の画面で設定を「はい」にすると、「AI生成」のラベルが付き、AI生成作品のランキングの対象になります。
- pixivFANBOX: 制作の過程のすべてか主要な部分に AI を使って生成したコンテンツは、公開が禁止されています。
- Kindle ダイレクト・パブリッシング: AI で生成した文章・画像・翻訳は、出版のときに知らせる必要があります。表紙と本文の画像も含みます。自分で作った物を AI で直しただけの場合は、知らせる必要はありません。
- 漫画賞: 海外の作者を対象にした日本国際漫画賞(第 20 回。募集は 2026年6月30日で終了)の募集要項は、ストーリー・構成・作画などの主な部分を AI が生成した作品の応募を認めていません。AI で作った画像を補助的に使った場合も、申告を求めています。ヤングジャンプ月例賞のページには、AI についての記載は見当たりませんでした。権利を侵害しない作品に限ることと、発表後でも受賞を取り消す場合があることは書かれています。
今回の 4 コマのように、絵をすべて AI に描かせた作品は、pixiv の説明に照らすと、設定を「はい」にしておくのが無難だと編集部は考えます(判断するのは pixiv です)。決まりは変わるので、出す日に、出し先のページを読んでください。
まとめ
参考にした公式の情報
- OpenAI API ドキュメント「Image generation」
- OpenAI API ドキュメント「GPT Image 2.5 Sunburst」
- OpenAI API ドキュメント「Pricing」
- OpenAI「利用規約」(2026年1月1日発効)
- OpenAI「Services Agreement」(2026年1月1日発効)
- OpenAI「Usage policies」(2025年10月29日発効)
- 文化庁「AIと著作権について」
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」【概要】(令和6年4月)
- 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)
- pixiv ヘルプセンター「AI生成作品とはなんですか?」
- pixiv ヘルプセンター「投稿作品のAI生成作品設定とはなんですか?」
- pixivFANBOX ヘルプセンター「「AI生成コンテンツ」とは何ですか?」
- Kindle ダイレクト・パブリッシング「コンテンツ ガイドライン」
- 日本国際漫画賞「第20回日本国際漫画賞作品募集」
- 週刊ヤングジャンプ「ヤングジャンプ月例賞」
- Noto CJK フォントのライセンス(SIL Open Font License 1.1)
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
連載
AIで作る全 4 回の目次
- 1AI でアプリを作って、ストアに出すまで 日数・費用・審査でつまずく所
- 2AI で 4 コマ漫画を作ってみた 任せられることと、人がすること(この記事)
- 3AI に Blender を使わせて商品画像を作る 画面なしで 9 枚描いて測った
- 4AI で自動売買の仕組みは作れる。でも検証の成績は当てにならない 乱数で確かめた