この記事でわかること
- 同じ文で頼んだ 3 曲の、指定の秒との差と歌詞の正確さ
- 6 曲の聞き比べと、使う前に長さと大きさを整える方法
- 商用利用と著作権を、規約と文化庁の資料で確かめる方法
確認した環境: YOBITSUGI AI で各モデルを実行(Lyria 3.5・Eleven Music v2.5。文字起こしは gpt-transcribe・Scribe v2)/ FFmpeg 7.0.2 で測定 / 規約は 2026年10月24日に確認
お店で流す BGM や、動画の始まりの短い曲を、AI で作れないか。気になるのは、頼んだ長さや歌詞のとおりになるのかと、仕事で使ってよいのか、の 2 つです。

編集部は、Google の Lyria 3.5 と ElevenLabs の Eleven Music に、同じ文で 3 曲ずつ作らせて測りました。文字に起こし直して確かめると、「歌なし」の曲からは 2 つとも言葉が出ず、歌詞 8 行は 2 つとも歌詞と合いました。
差が出たのは長さで、Lyria 3.5 は 30 秒と 15 秒の指定に、60 秒ほどの曲を返しました。商用利用と著作権は、公式の規約と文化庁の資料で確かめた範囲をまとめます。


なぜ測るのか: 「頼んだとおりか」と「使ってよいか」に答える
AI に曲を頼むときの迷いは 2 つです。1 つは、指定が守られるかです。店の BGM なら長さとくり返し、動画のジングルなら秒数、歌なら歌詞が大事になります。
もう 1 つは、仕事で使ってよいかです。条件はプランと使い道で分かれ、著作権の考え方も知っておく必要があります。
AI 作曲の道具は、短い間にも変わっています。Google が Gemini アプリで Lyria 3 を公開した 2026年2月18日には、作れるのは 30 秒の曲でした。いまの Lyria 3.5 は、Gemini の製品ページで最長 3 分とされています。
同じ文を、2 つのモデルに 1 回ずつ渡す


2026年10月24日に作りました。記録に残ったモデルの名前は lyria-3.5 と eleven-music で、Eleven Music は v2.5 と返ってきました。Gemini API のドキュメントは、Lyria 3.5 をヴァース・コーラス・ブリッジのある曲全体に向くモデルと説明しています。曲の長さは数分(a couple of minutes)で、文の中で指定すると長さに影響を与えられる(influence)としています。
渡した文は次の 3 つです。2 つのモデルに一字一句同じ文を渡しました。③ の歌詞は、編集部が書いた架空のものです。
小さなパン屋の店内で流す BGM。朝の明るく落ち着いた雰囲気。アコースティックギター、ピアノ、やわらかい打楽器。テンポはゆっくりめ。歌は入れず、楽器だけにする。長さは 30 秒。くり返して流せるように、始まりと終わりを同じ調子にする。
料理の動画の始まりに流す、15 秒のジングル。明るく元気で、すぐ覚えられる短いメロディー。ブラス、手拍子、木琴。歌は入れず、楽器だけにする。長さは 15 秒。最後ははっきりした音で止めて終わる。
商店街の小さな花屋を描いた、明るいポップスの歌。やさしい女性の歌声、アコースティックギター、ピアノ、軽いドラム。テンポは中くらい。長さは 1 分ほど。歌詞は下のとおりで、この日本語の歌詞だけを歌う。
[Verse]
朝の光が 窓をたたく
シャッター開けて 深呼吸
バケツの水に 空が揺れる
今日も小さな 店を開く
[Chorus]
通りの角の 花屋さん
ひとつ選んで 持って帰ろう
あなたの机に 色をひとつ
明日もここで 待っている
数えたことは 4 つです。
- 長さ: できた曲の秒と、指定との差。
- 音の大きさと無音: FFmpeg(音と動画を扱う無料の道具)で測りました。
- 歌の有無と歌詞: OpenAI の gpt-transcribe と ElevenLabs の Scribe v2 で文字に起こし直し、歌詞と比べました。予定した 3 つ目の Gemini の文字起こしは、6 曲とも文を返しませんでした(1 回やり直しても同じで、話し声の音声では文を返しました)。
- 作る時間とクレジット: YOBITSUGI AI の記録です。
長さ: Lyria 3.5 は 30 秒と 15 秒の指定でも 60 秒ほど


- Eleven Music の 3 曲は、30.04 秒・15.05 秒・60.03 秒でした。長さの設定のとおりです。
- Lyria 3.5 は、61.31 秒・59.17 秒・67.11 秒でした。「長さは 30 秒」「長さは 15 秒」は守られず、「1 分ほど」の ③ は 7 秒長くなりました。
- 終わり方も違いました。Eleven Music の ① は、30 秒まで音が続いたまま終わります。② は 12.5 秒ごろから急に小さくなって 13.6 秒からは無音になり、③ は 55 秒ごろから少しずつ小さくなりました。
- Lyria 3.5 は 3 曲とも、最後の 1.8〜2.7 秒が無音でした。② は始まりに 0.7 秒、③ は 1.3 秒の無音があります。
歌詞: 起こし直すと 8 行とも合った。読みまで同じ行は 5 行と 7 行


- 作る前に決めた決まり(ひらがなに直して 8 割以上が一致)では、2 つとも 8 行すべてが「合った」でした。
- これでは差が見えないので、結果を見たあとに見方を足しました。2 つの起こし直しの両方で、ひらがなに直すと歌詞と同じになった行は、Lyria 3.5 が 5 行、Eleven Music が 7 行です。
- Lyria 3.5 は、2 つの起こし直しがどちらも同じ所で歌詞と違った所が 2 か所ありました。2 行目に「を」が入り、7 行目の「机」は「つか」と「束」に起こされています。サビの 5〜7 行目は、2 つの起こし直しとも 2 回ずつ出てきました。
- Eleven Music の 7 行目は、起こし直しが「あなただけの机に」と「あなたのつえに」に分かれました。どう歌ったかは、この方法では決められません。
- 「歌は入れず」の 4 曲は、2 つの起こし直しとも 0 字でした。耳で確かめたわけではありません。
起こし直しの全文(4 本・返ってきたまま)
Lyria 3.5・gpt-transcribe: 朝の光が窓を叩く シャッターを開けて深呼吸 バケツの水に空が揺れる 今日も小さな店を開く 鳥の角の花屋さん 一つ選んで持って帰ろう あなたのつかに色を一つ 明日もここで待っている 鳥の角の花屋さん 一つ選んで持って帰ろう あなたのつかに色を一つ
Lyria 3.5・Scribe v2: 朝の光が窓を叩く。シャッターを開けて深呼吸。バケツの水に空が揺れる。今日も小さな店を開く。通りの角の花屋さん。一つ選んで持って帰ろう。あなたの束に色を一つ。明日もここで待っている。通りの角の花屋さん。一つ選んで持って帰ろう。あなたの束に色を一つ。明日もここで。
Eleven Music・gpt-transcribe: 朝の光が窓を叩く。シャッター開けて深呼吸。バケツの水に空が揺れる。今日も小さな店を開く。通りの角の花屋さん、一つ選んで持って帰ろう。あなただけの机に色を一つ。明日もここで待っている。
Eleven Music・Scribe v2: 朝の光が窓を叩く。シャッター開けて深呼吸。バケツの水に空が揺れる。今日も小さな店を開く。通りの角の花屋さん。一つ選んで持って帰ろう。あなたのつえに色を一つ。明日もここで待っている。
音の大きさと無音: 使う前に整える所が分かる


- 全体の大きさは、同じお題で比べると Lyria 3.5 が 1.7〜3.3 LU 大きい値でした。2 つの曲を続けて流すなら、大きさをそろえる必要があります。
- いちばん大きい所は、Lyria 3.5 の ② と ③ が +0.5 dBTP でした。0 を超えると、変換したときなどに音がひずむおそれがある目安です。
- 途中で音が途切れた所は、6 曲とも 0 か所でした。
作る時間とクレジット: Lyria 3.5 は 1 曲ごと、Eleven Music は長さで決まる


- Lyria 3.5 は、長さによらず 1 曲 13.9 クレジットでした。Eleven Music は長さに比例し、15 秒で 6.5、60 秒で 26.0 です。
- 公式の API の料金は、Lyria 3.5 が 1 曲 0.08 米ドル、Eleven Music が 1 分 0.15 米ドル(税抜)です(2026年10月24日に確認)。
- 6 曲で 87.2 クレジット、文字起こしと確かめに 7.4 クレジット、合わせて 94.6 クレジットでした。
違いはなぜ出たか: 確かめたことと推測を分ける
- 長さ(確かめたこと): Eleven Music には秒を数字で渡す設定があり、今回はそれを使いました。Lyria 3.5 のドキュメントは、文の中の指定や、時刻で曲の組み立てを区切る書き方で、長さに影響を与えられる(influence)と説明しています。今回の書き方では守られませんでした。
- 長さ(推測): Lyria 3.5 は曲全体を作るモデルなので、短い指定より曲の形が優先された可能性があります。30 秒の曲には別のモデル(Lyria 3 Clip。いつも 30 秒)があるとドキュメントにありますが、時刻の書き方とあわせて試していません。
- 歌詞: Lyria 3.5 がサビをくり返したのも、曲の形に合わせたためと考えられます(推測)。「を」や「机」の違いは、歌い方が変わったのか、起こし直しに伝わりにくい発音だったのかを、確かめていません。
- 音の大きさ: 2 つのモデルで仕上げの大きさが違う理由は、公式の説明に見当たらず、確かめていません。
仕事で使うなら: 店・動画・歌で分けて考える
- 店の BGM: くり返して流すなら、終わりの無音を切ります。Lyria 3.5 の ① は最後の 1.8 秒が無音でした。Eleven Music の ① は音が続いたまま 30 秒で終わるので、つなぎ目を聞いて確かめます。何曲か流すなら、大きさもそろえます。
- 動画のジングル: 秒が決まっているなら、長さの設定がある道具のほうが手間が少なく済みました。長い曲ができたら、切って最後を消えるようにします(下の図)。
- 歌: 店の紹介動画や社内のイベントの歌は、人が書いた歌詞を渡せます。読み違えやすい言葉は、聞いて確かめます。かなで書くと変わるかは、試していません。
ナレーションと合わせるなら、日本語の読み上げが自然な AI はどれ? 同じ原稿を 4 つの声で聞き比べが参考になります。音と映像を合わせる例はASMR 動画は AI で作れる? 切る・たたく音と映像のずれを測ってプロンプトごと公開、長い作品の作り方はAI で長い映像を作る(3 分・10 分の作品の作り方)にあります。
長さが合わなかった曲を、15 秒に直す


FFmpeg で 1 行のコマンドを動かしました。直したあとは 15.0 秒、いちばん大きい所は −0.2 dBTP で、0 を下回りました。
使ったコマンド(FFmpeg)
-ss 0.744 で始まりの無音を飛ばし、-t 15 で 15 秒を取り出し、afade で 13.5 秒から 1.5 秒かけて音を消しています。
ffmpeg -ss 0.744 -t 15 -i m2-lyria.mp3 -af "afade=t=out:st=13.5:d=1.5" -codec:a libmp3lame -b:a 192k m2-lyria-15s.mp3
商用利用と著作権: 使う前に確かめる


Google(Lyria 3.5)の規約で確かめたこと
- Gemini API 追加利用規約は、生成されたコンテンツの所有権を Google は主張しないと定めています。同じか似たコンテンツをほかの人にも生成することがあり、使い方の責任は利用者にあります。使えるのは 18 歳以上です。
- Google の利用規約は、生成 AI のコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為を禁じています。以前の「生成 AI の追加利用規約」は、2024年5月22日から、その規約を参照する契約のある事業者を除いて適用されないと、ページに書かれています。
- ドキュメントによると、特定の歌手の声や、著作権のある歌詞を求める文は止められます。作った音には、すべて SynthID の透かしが入ります。
- Lyria 3.5 の API に、無料の枠はありません。Gemini アプリのヘルプには 18 歳以上で、作れる数に上限があると書かれていますが、無料のプランで使えるかは書かれていませんでした。
ElevenLabs(Eleven Music)の規約で確かめたこと
- 利用規約(Terms of Use)は、利用者と ElevenLabs の間では、利用者が作った物の権利を持つと定めています。同じか似た物を、ほかの人が受け取ることもあります。音楽の規約(Eleven Music Terms)は、使う前に確かめるのは利用者だとしています。
- 音楽の規約の表では、音楽の配信サービスに出せるのは Creator 以上です。映画・テレビ・ラジオと、規約が Studio Games と呼ぶゲーム(売り上げが一定より少ないインディーのゲームは含まない)に使えるのは、Enterprise Music だけです。Free から Pro までは、個人だけが使えます。
- プランを上げると、それまでに作った曲も上げたプランの条件になります。下げたりやめたりしたときは、作ったときのプランの条件が続きます(音楽の規約 1.5)。
- 透かしが入っていることは保証されず、配信先の AI の開示の決まりを守るのは利用者です。頼む文には、実在の歌手の名前、曲やアルバムの名前、特定の曲と分かるほどの歌詞などを入れられません。
著作権の考え方は、文化庁の資料で知る
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」の概要は、「考え方」自体は法的な拘束力を持たないと断ったうえで、次のように説明しています。
- AI で作った物を公表・販売するときも、侵害かどうかは通常と同じ基準で判断されます。既存の著作物と創作的な表現が共通していること(類似性)と、既存の著作物をもとに作ったこと(依拠性)です。
- 簡単な指示で AI が自律的に作った物は、著作物に当たらないと考えられています。人が創作的な加筆・修正をした部分は、通常、著作物性が認められます。
「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」は、仕事で使う人に、利用規約の確認、利用の前に既存の著作物と似ていないかの確認、指示の文など生成の過程を確かめられるようにしておくことを挙げています。作品の題名などの固有名詞を入れると、依拠性が認められやすくなるとも書いています。
今回の歌詞は編集部が書きましたが、曲と歌詞がそれぞれどう扱われるかは、個別の判断です。最終の判断は、弁護士などの専門家に相談してください。
画像・文章・コードも含めた確かめ方は、生成AIの著作権と商用利用 作る前と公開の前に確かめる 4 つのことにまとめています。
YouTube に載せるときは、3 つのページを読む
- 「生成 AI コンテンツの使用に関する開示」は、開示が必要な例に「AI 生成の音楽」と、動画の中心となる音楽を作ることを挙げています。後ろで流すだけの BGM の扱いは、このページでは確かめられませんでした。
- 「Content ID の対象になるコンテンツ」は、登録する素材に独占的な権利を求めています。AI の曲についての記載は見当たりません。上の 2 社の規約は、似た物がほかの人にも作られることがあると書いています。
- 収益化のポリシーは、独創性のないテンプレートで大量生産されたような AI 生成コンテンツを、収益化の対象外の例に挙げています。


気をつけること: 1 回ずつの結果で、耳では確かめていない
- 1 回ずつの結果です: Gemini API のドキュメントにも、同じ文でも結果は変わることがあると書かれています。
- 起こし直しの AI も誤ります: 歌詞の比べは、2 つの起こし直しがそろった所を重く見ました。耳では確かめていません。
- 画面の道具で作るとき: Gemini アプリや ElevenLabs の画面から作ったときに同じ結果になるかは、試していません。Gemini アプリのヘルプでは、長さは「短い」(約 1 分)と「フル」(約 2〜3 分)から選ぶ形です。
- ほかのサービスを通して作ったときは、そのサービスの規約も読みます。
- Suno・Udio など、ほかの作曲の AI は今回作っていません。規約は道具ごとに違います。
次にやること
- 使う場面(店・動画の始まり・歌)と、要る長さを決める。
- 文に、歌なし・長さ・楽器・雰囲気を書く。歌なら歌詞も書いて渡す。
- 長さが合わなければ、切って最後を消えるようにする。
- 使う日に、規約の表で使い道とプランを確かめ、文と日付を残す。
今日やる 1 つは、使う場面と要る長さを 1 行に書き出すことです。
次の回の生成AIの著作権と商用利用 作る前と公開の前に確かめる 4 つのことでは、作る前と公開の前に確かめる権利・規約・表示・記録の 4 つを、AI の道具全体で整理します。
参考にした公式の情報
- Gemini API ドキュメント「Music generation」
- Gemini API「Pricing」
- Gemini API 追加利用規約(2026年3月23日発効)
- Google 利用規約(2026年7月30日発効)
- Google「生成 AI の追加利用規約」
- Google「生成 AI の使用禁止に関するポリシー」
- Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリで音楽を生成する」
- Gemini「Lyria」(音楽の生成の製品ページ)
- Google ブログ「Use Lyria 3 to create music tracks in the Gemini app」(2026年2月18日)
- ElevenLabs ドキュメント「Eleven Music」
- ElevenLabs「Eleven Music Terms」(2026年10月9日更新)
- ElevenLabs「Terms of Use」(2026年10月9日更新)
- ElevenLabs「API Pricing」
- ElevenLabs ドキュメント「Transcription」(Scribe v2)
- OpenAI「GPT-Transcribe」(モデルのページ)
- 文化庁「AIと著作権について」
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」【概要】(令和6年4月)
- 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)
- YouTube ヘルプ「生成 AI コンテンツの使用に関する開示」
- YouTube ヘルプ「Content ID の対象になるコンテンツ」
- YouTube ヘルプ「YouTube のチャンネル収益化ポリシー」
- FFmpeg のドキュメント(ebur128・silencedetect・afade)
- YOBITSUGI AI「料金」

執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
