この記事でわかること
- 1 本の費用と時間の内訳(映像・仕上げ・音)
- AI が考えた字幕の置き方と BGM の下げ方
- 直しを頼んで分かった、人が見るところ
確認した環境: YOBITSUGI AI(取りまとめ役 Claude Opus 5.5・映像 Gemini Omni Flash / Kling 3.0・BGM Eleven Music・声 OpenAI の読み上げ)/ 2026年10月25日に作成・費用は会話の使用量の明細
10 秒のリール 1 本に、3 分 49 秒と 263 クレジット(約 289 円)。そのうち映像を作った AI の分は 177 クレジットで、残りの 81 クレジットは、映像に字幕と BGM を重ねて 1 本に仕上げた AI の分でした。

SNS で見かける AI のショート動画は、1 つの AI が丸ごと作っているわけではありません。映像・音・文字を別々の AI とツールが受け持ち、最後に 1 本へまとめています。編集部で実際に 3 本作った記録から、その分担と費用、AI が気を配ったところ、人が見なければいけないところを読み解きます。


お店と個人の SNS に出す 3 本を頼んだ
頼んだのは、カフェのインスタのリール、ハンドメイドのイヤリングの TikTok、朝のストレッチを紹介する YouTube ショートです。どれも縦長(9:16)で、文字と BGM が入り、ストレッチの 1 本にはナレーションも入ります。依頼の文は、お店の人が自分で書くくらいの短さにしました。
できた 3 本(音が出ます)
依頼の文(3 本とも全文)
カフェのリール
駅前で小さなカフェをやっています。秋の新作「栗のモンブランラテ」を、インスタのリールで紹介したいです。
縦長(9:16)で 10 秒ほどの動画を作ってください。
・湯気の立つラテのアップから始まり、上にのった栗のクリームが映る
・最後に「栗のモンブランラテ 10/31 まで」の文字
・やさしいアコースティックの BGM
できた動画は /files/cafe-reel/ に保存し、最後にどの AI に何を頼んだかを短く教えてください。
イヤリングの TikTok
ハンドメイドのイヤリングを minne で売っています。新作の「月のしずく」イヤリング(金色の三日月に小さなパール)を紹介する、TikTok 用の縦長の動画を作ってください。
・8 秒くらい。イヤリングがゆっくり回って、光が当たってきらっとする
・字幕で「新作 月のしずく」「ひとつずつ手作り」
・明るくておしゃれな BGM
できた動画は /files/earring/ に保存し、最後にどの AI に何を頼んだかを短く教えてください。
ストレッチの YouTube ショート
YouTube ショートに、朝の 5 分でできる「ゆるストレッチ」を紹介する縦長の動画を作りたいです。
・15 秒くらい。やわらかい朝の光が入る部屋で、ゆっくり体を伸ばす人(後ろ姿でかまいません)
・女性の落ち着いたナレーションで「朝の 5 分、首と肩をゆっくりほぐしましょう」
・ナレーションに合わせた字幕と、静かなピアノの BGM
できた動画は /files/stretch/ に保存し、最後にどの AI に何を頼んだかを短く教えてください。
最後の 1 文(保存先と、どの AI に頼んだか)は、記録を取るために足したものです。
1 本の動画を、4 つの役で分担していた
依頼を受けた取りまとめ役の AI(Claude Opus 5.5)は、自分では映像を描きません。依頼を映像・音・文字に分け、映像は映像の AI に、BGM は音楽の AI に、同時に頼みました。届いた素材は、ワークスペース(AI が作業するサーバーの中の場所)で動く ffmpeg(動画を編集するソフト)で字幕と重ね、1 本の MP4 に書き出しています。


映像の AI への指示は、どれも英語で書かれていました。文字を入れるカフェとイヤリングの 2 本は、指示の終わりに「No text(文字は入れない)」と書いてあります。カフェの指示には、最後の 3 秒は画面の下の 3 分の 1 をぼけた空きにする、とも書いてありました。字幕を置く場所を、映像を作る前から空けていたことになります。
15 秒の 1 本だけは、映像を Kling 3.0 で作っていました。この日の YOBITSUGI AI では、Gemini Omni Flash で作れる映像は 1 回 10 秒までです。
取りまとめ役の仕事は、工事の現場監督に似ています。自分でれんがを積むのではなく、職人を選び、順番を決め、最後に仕上がりを見る。この記録で費用と時間の差が出たのも、この段取りの部分でした。
費用の 6〜7 割は映像、約 3 割は取りまとめ役


いちばん大きいのは映像の AI で、1 本 141〜218 クレジットでした。意外だったのは取りまとめ役の分です。カフェ 81・イヤリング 84・ストレッチ 86 と、動画の長さが 8 秒から 15 秒まで違っても、ほとんど変わりませんでした。依頼を読む、指示を書く、素材を確かめる、書き出しを 2 回指示する。1 本ごとの作業の量が似ているからだと、編集部では見ています。
BGM と声は、合わせても 1 本の 2〜3% です。音楽と読み上げは、映像に比べてずっと安く作れます。
仕事で何本も作るなら、費用を左右するのは映像の長さと画質、それに作り直しの回数です。取りまとめ役の分は 1 本 80 クレジット前後と見ておくと、見積もりを立てやすくなります。
時間の 4〜6 割は、仕上げの書き出し


映像と音は同時に頼むので、待つ時間は遅いほうで決まります。Gemini Omni Flash の 2 本は約 40 秒で素材がそろい、Kling で 15 秒の映像を作った 1 本は、映像・声・BGM がそろうまで 3 分 37 秒かかりました。
一方、字幕と音を重ねて 1080×1920 の MP4 に書き出す作業は、1 回 52 秒〜1 分 54 秒です。3 本とも 2 回ずつ書き出したので、仕上げが全体の 4〜6 割を占めました。2 回目は、1 回目の出来を AI が自分で見て直した分です。
工夫 1: 字幕は映像と分けて、あとから重ねる
カフェの会話で、取りまとめ役は最初にこう書いていました。
文字は AI に描かせると崩れやすいので、あとから日本語フォントで重ねます。
ただ、画像の AI については、編集部の看板の字の比べで、5 つのうち 4 つが 1 回目で指定どおりの字を描いています。動画の AI に字幕まで描かせたらどうなったかは、今回は試していません。
それでも、字幕を映像と分けておいた効き目は、この記録の中ではっきり出ました。あとで字幕の位置を直したとき、映像を作り直さずに済み、費用は 21 クレジットで収まっています(後の「つまずき」の節)。映像に字を焼き込んでいたら、直すたびに映像の AI の分(1 本 141〜218 クレジット)がかかるところでした。

工夫 2: SNS の表示に重なる所をよけて、字幕を置く


リールや TikTok では、画面の下の方に説明文やアカウント名が、右側にボタンが重なります。カフェの 1 本では、取りまとめ役が 1 回目の書き出しのあとに場面を並べた画像を自分で見て、字幕を上へ動かしてから書き出し直しました。ストレッチの字幕も、画面の下の YouTube のボタンにかからない高さに置いた、と説明しています。
ただ、よけたいものは SNS の表示だけではありません。イヤリングでは、字幕を上げるとパールにかかり、下げると TikTok の表示に近づきます。字幕の場所は、映像の中身と SNS の画面の両方を見て決めることになります。
工夫 3: 声が入る間だけ、BGM を小さくする
ストレッチの 1 本では、ナレーションが 1 秒目から入り、字幕もそれに合わせて「朝の5分、」「首と肩を、ゆっくりほぐしましょう」の 2 回に分けて出ます。ピアノの BGM は、ナレーションの間だけ自動で少し小さくなり、全体の音量は YouTube 向けにそろえてありました。
渡すときには、こんな一言も添えていました。
ナレーションは約 3.6 秒と短いので、8 秒目以降は映像とピアノだけになります。
足りないところを自分から伝え、後半に言葉を足す案まで出しています。自分の動画を見返す作り手の目に近い、と感じた場面でした。
つまずき: 「新作」の文字が、パールにかかっていた


イヤリングの 1 回目の動画では、「新作」の小さな文字がパールの下の端にかかっていました。取りまとめ役も場面を並べて確かめていましたが、この重なりは直されないまま届いています。
同じ会話で直しを頼むと、2 分 15 秒で直った動画が届きました。字幕を 170 ピクセルほど下げて書き出し直しただけで、費用は 21 クレジットです。
AI が自分で見直しても、見落としは残ります。最後は人が、実際に投稿する画面で確かめる。その 1 回の確認で見つかる直しは、安く済みます。
気をつけたいこと: AI が答えた費用に、自分の分が入っていなかった


ストレッチの 1 本で、取りまとめ役は最後に「合計は約 226 クレジットです」と書きました。会話の明細では 313 クレジットです。差の 87 は、取りまとめ役自身の分(85.5)とワークスペースの分(0.9)でした。直しのあとも「新しい費用はかかっていません」と書いていますが、明細には 21 クレジットが残っています。
取りまとめ役は、自分が呼んだほかの AI の費用を足して答えていました。自分自身の分は、その計算に入っていません。費用は、AI の答えではなく、会話の明細で確かめるのが確実です。
人が決めることは、3 つ残った
AI に任せたのは、作る・まとめる・見直すところまででした。投稿の前に人が決めることは、次の 3 つです。
- 実物と違って見えないか: イヤリングの映像は、商品の写真からではなく、文だけで作ったものです。取りまとめ役も、三日月の形やパールの大きさが実物と違うときは、説明文に「イメージ映像です」と書くよう勧めていました。実物に近づけたいときは、商品の写真を最初の場面にして動かす作り方もあります。
- 実際の画面で、重ならないか: 字幕と SNS の表示の重なり方は、アプリや端末で変わります。投稿の下書きの画面で確かめます。
- AI で作ったことを表示するか: YouTube は本物のように見える AI の動画に開示を求め、TikTok も本物らしい AI の画像・音声・動画にラベルを求めています。Meta(Instagram・Facebook)も、写真のようにリアルな動画や本物らしい音声には、AI のラベルを求めることがあります。今回の 3 本はどれも実写のような映像なので、投稿するなら表示を付けます。
263 クレジットで払っていたもの
最初の数字に戻ります。10 秒のリールの 263 クレジットのうち、映像に払ったのが 177、取りまとめ役に払ったのが 81 でした。81 は、映像の AI を選び、文字を入れない指示を書き、字幕の場所を考え、場面を見直すといった段取りの代金です。人がやれば手間のかかる部分が、ここに入っています。
この作り方が向く場面と、向かない場面を分けると、次のようになります。
| 向く場面 | 向かない場面 |
|---|---|
| 季節の告知や新作の紹介を、短い動画で何本も出したい | 商品の大きさや色を正確に見せたい(写真から作るか、撮影する) |
| 撮影の前に、雰囲気を動画で見てみたい | 実在の人の顔や声を使いたい |
| 字幕・BGM・声まで、まとめて頼みたい | 1 分を超える長い動画(場面をつなぐ分だけ、時間と費用が増える) |
最初の 1 本は 10 秒ほどで頼み、届いたら明細で内訳を見てみてください。何に払ったかが分かれば、2 本目の長さと設定は自分で決められます。
参考にした公式の情報

連載・作ってみた AIで作る
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。