AIで映像を作る 第4回
動画生成 AI は物理法則を守る? 落下・水・布・ドミノを作ってコマで確かめた

この記事でわかること
- 6 つの物理の場面を 5 つのモデルで作り、4 項目で数えた結果
- ボールの落ちる速さと弾む高さを、コマごとに測った数字
- 17 本の動画と、渡したプロンプトの全文・クレジット
確認した環境: YOBITSUGI AI で各モデルを実行 / 2026年10月15日に確認
動画生成 AI は、ボールの落ち方や、ぶつかったあとの動きを物理に合う形で作れるのでしょうか。ボールを落とす・コップに水を注ぐ・布が椅子に落ちる・ドミノ倒し・5 つの玉の振り子・漏斗から砂が落ちる、の 6 つの場面を 5 つのモデルで 4 秒の動画にし、コマで数えました。今回の 17 本では、物の数と形は多くの動画で保たれた一方、動きの順番と向きを守れたのは 6 本でした。ボールは 5 本とも、どこかで前の回より高く弾みました。
結果の早見

- 守れたこと: 物の数(17 本のうち 15 本)・形(15 本)・すり抜けない(13 本)は、多くの動画で守られました。
- 守れなかったこと: 動きの順番と向きを守れたのは 6 本です。ボールは 5 本とも、どこかで前の回より高く弾み(Runway Gen-4.5 は約 2 cm の差)、振り子は 3 本とも、当たったあとの動きが指示と違いました。
- 落ちる速さ: ボールの見かけの重力加速度(落ちる速さの増え方)は、5 本で 2.2〜10.7 m/s² とばらつきました(現実は 9.8)。8〜11 の間が Runway Gen-4.5 と Gemini Omni Flash、4〜6 の間が Kling 3.0 と Grok Imagine Video 1.5、2〜3 の間が Veo 3.1 です。ただし物差しは文で決めた大きさで、絵がその大きさを守っていないため、値には大きな幅があります(ボールの節)。
- 4 項目すべてを守れた動画: 水を注ぐの 2 本、布の Grok、ドミノと砂の Runway Gen-4.5 の 5 本です。作った場面がモデルごとに違うので、順位は付けません。
作り方と見方
使ったモデル
| 記録に残ったモデルの名前 | できた動画 | 音 | 公式の説明 | |
|---|---|---|---|---|
| Gemini Omni Flash | gemini-omni-1.1-flash | 1280×720・96 コマ | あり | 既定は 720p。作った動画には見えない電子透かし(SynthID)が入る |
| Kling 3.0 | kling-3.0 | 1280×716・97 コマ | なし | 3〜15 秒。音ありと音なしの 2 つの作り方がある |
| Runway Gen-4.5 | gen4.5 | 1280×720・97 コマ | なし | 文からも画像からも動画を作るモデル |
| Grok Imagine Video 1.5 | grok-imagine-video-1.5 | 1280×704・97 コマ | あり | 1〜15 秒(既定 8 秒)。画像から作ると縦横は画像に合わせる |
| Veo 3.1 | veo-3.1-fast-generate-preview | 1280×720・96 コマ | あり | 音つきの動画を作るモデル |
- どれも 1 秒 24 コマです。Veo 3.1 は Google が早ければ 2026年10月22日に提供を終える予定(後継は Gemini Omni Flash)なので、ボールの場面の 1 本だけで使いました。1 本だけなので、ほかのモデルと本数や合計では並べません。YOBITSUGI AI では Veo 3.1 の長さを 4・6・8 秒から選ぶので、全部を 4 秒にそろえています。
- 最初の場面の画像は Nano Banana Pro(記録の名前は gemini-3-pro-image)で作りました。作業の時点で GPT-Image-2.5 は使えませんでした。
最初の場面の画像をそろえた
始まりの状態と画面の中の物差しをそろえるため、場面ごとに画像を 1 枚作り、同じ場面のモデル全部に渡しました。画像も作り直していないので、画像の時点で文と違った所があります。
- ボール: 壁の線は 19 本で、間隔がそろっていません(文は「10 cm ごと」で、床から約 1.2 m まで)。ボールは、一番上の線を 1.2 m とすると直径 約 22 cm で、文の「テニスボールくらい」より大きく描かれています。
- ドミノ: 画面の中は 9 枚と 10 枚目のごく一部で、玉はもう 1 枚目に触れています。
- 振り子: 玉が 6 個でした。左のはしに指先が写っていたので、左のはしを 30px 切ってから渡しました。
点は、文に書いた数(ドミノ 10 枚・玉 5 個)ではなく、渡した画像(0 秒のコマ)に対して保てたかで数えました。
見たこと(先に決めた 4 項目)
動画を作る前に決めた 4 項目を、1/24 秒ずつのコマで数えました。条件が 2 つ以上ある項目は、全部を満たしたときだけ ○ です。数えたのは編集部(Claude Code を使用)です。
- 数が変わらない: 物の数が、0 秒のコマから最後まで同じ(増える・消える・分かれる・くっつく が無い)
- すり抜けない: 物が、ほかの物や床・机を通り抜けない
- 順番と向き: 指示した出来事が、指示した順番と向きで起きる(場面ごとの条件は各節)
- 形が保たれる: 固い物が曲がる・溶ける・別の形に変わる、が無い
ボールの位置・水位・砂の山の高さは測って記録しました(点には入れていません)。
場面ごとの結果
1. ボールを落とす・弾む


- 条件は、③ ボールが真下に落ち、2 回以上弾んで、弾むたびに前より低くなる、です。5 本とも ③ が × でした。
- 測り方: ボールの中心の高さを 1 コマずつ色で読み、放してから床に着く前のコマまで(9〜20 コマ)に「高さ = a + b × 秒 + c × 秒²」を当てはめ、2c を見かけの重力加速度としました。画面の長さを m に直す物差しは、放した高さ(画面で 380px)を 1 m とする方法と、一番上の線から床まで(490px)を 1.2 m とする方法の 2 つで、図の値はこの 2 つの幅です。
- ばらつき: 当てはめの標準誤差は 2〜11% で、使うコマの始めと終わりを 1〜2 コマずらすと −10〜+15% 動きました。編集部が別の読み方で 5 本を測り直した値も、記録との差は 5% 以内でした。
- 物差しの不確かさ: 上の 2 つの物差しは、文で決めた大きさを絵が守っていると見なしたものです。同じ絵でも、壁の線を文のとおり 10 cm ごととして数えると値は約 1.5 倍に、ボールを文のとおりテニスボールくらいの大きさとすると 3 分の 1 ほどになります。
- 落ちる間は 5 本とも、だんだん速くなっていました(「時間の 2 乗」の式で当てはめたずれは、等速の式の 3 分の 1 以下)。違ったのは速さと弾み方です。
- Gemini Omni Flash: 0.50 秒で床に着きました。1・2 回目は放した高さまで戻り、小さく弾んだあと、また放した高さの 9 割ほどまで上がりました。
- Kling 3.0: まず約 7〜8 cm 上へ動いてから落ちました。2 回目は 1 回目より高く、放した高さを超えて弾みました。
- Runway Gen-4.5: 放した瞬間からもう下へ動いていました。2・3 回目は前の回より約 2 cm ずつ高く弾み、そのあと低くなりました。ボールは 3 秒すぎから左へ動き、最後は約 50 cm 左にありました。
- Grok Imagine Video 1.5: 0.46 秒で床に着きましたが、放した瞬間から速く動いていました。1 回目は放した高さの約 1.3 倍まで弾みました。
- Veo 3.1: 床まで 0.83 秒かかりました。1 回目は低く、2 回目は放した高さの約 1.2 倍まで弾みました。
- 編集部の見立てでは、Runway Gen-4.5 は横のずれを除けば、もっともらしく見えました。
ボールを落とす(5 本)
5 つのモデルに渡した文(同じ文・4 秒・16:9・下の文で作った画像を最初の場面に。Veo 3.1 は YOBITSUGI AI で model に veo-3.1 を指定)
A simple physics demonstration, front view. An orange rubber ball about the size of a tennis ball is released from rest about one meter above a gray concrete floor, in front of a plain white wall with thin black horizontal lines every 10 centimeters. The ball falls straight down under gravity, speeding up as it falls, hits the floor and bounces up again several times, each bounce lower than the one before. Real-time speed, not slow motion. The camera does not move. No people, no hands, no text, no numbers, no logos.
Nano Banana Pro に渡した文(最初の場面の画像。1536×1024 を頼み、1264×848 で返ってきた画像の上下を切って 16:9 にしました。ほかの場面も同じです)
Photorealistic photo, front view of a simple physics demonstration. An orange rubber ball about the size of a tennis ball is in the air about one meter above a gray concrete floor, at the instant it is released from rest; nothing holds it. Behind it is a plain white wall with thin black horizontal lines painted every 10 centimeters, from the floor up to about 1.2 meters. The whole height from the floor to above the ball is in frame. Even soft lighting. No people, no hands, no text, no numbers, no logos.
2. コップに水を注ぐ

- 条件は、③ 水が流れている間だけ水位が上がり、下がらない。流れが止まったあとは変わらない、です。2 本とも 4 項目すべてを守り、コップの外に水は出ていません。
- Gemini Omni Flash: 流れは約 2.9 秒で止まり、水位は文の「半分」に合う約 52% でした。
- Grok Imagine Video 1.5: 流れは約 3.2 秒で止まり、水位は約 73% でした。「半分」より多く注いでいます。
- 編集部の見立てでは、6 つの場面の中でいちばん現実に近く見えました。
コップに水を注ぐ(2 本)
Gemini Omni Flash と Grok Imagine Video 1.5 に渡した文(同じ文・4 秒・16:9・下の文で作った画像を最初の場面に)
Side view at table height. On a light wooden table stands one empty clear straight-sided drinking glass in front of a plain light gray wall. The hand of a fictional adult tilts a clear glass pitcher full of water and pours a steady stream into the glass. The water level in the glass rises steadily from the bottom until the glass is half full, then the pitcher is tilted back up, the stream stops, and the water in the glass settles. No water spills outside the glass. Real-time speed, not slow motion. The camera does not move. No other people, no text, no logos.
Nano Banana Pro に渡した文(最初の場面の画像)
Photorealistic photo, side view at table height. On a light wooden table stands one empty clear straight-sided drinking glass in front of a plain light gray wall. The hand of a fictional adult holds a clear glass pitcher full of water above the glass, just starting to tilt it; the first thin stream of water is just leaving the spout. The whole glass, from its bottom to its rim, is in frame. No other people, no text, no logos.
3. 布が椅子に落ちる

- 条件は、③ 布が落ちて椅子にかぶさり、最後の 0.5 秒は大きく動かない。椅子は動かない、です。
- Kling 3.0(2 / 4): 1.25 秒に背もたれの上に乗った布が、1.4 秒ごろ背もたれの板が消えるのと同時に下へ通り抜けました(② と ④)。最後は背もたれがあるような形で布がかかり、椅子の脚の位置は変わっていません。
- Grok Imagine Video 1.5(4 / 4): 約 1.1 秒で布が背もたれに触れ、約 2.5 秒で大きな動きが止まりました。
- 編集部の見立てでは、2 本とも布はふわりとゆっくり落ちています。
布が椅子に落ちる(2 本)
Kling 3.0 と Grok Imagine Video 1.5 に渡した文(同じ文・4 秒・16:9・下の文で作った画像を最初の場面に)
Side view at a slight angle in an empty white room with a light wooden floor. One simple wooden chair with four legs and a backrest stands in the middle. A square red cotton cloth, about one meter wide, falls from above onto the chair. The cloth drapes over the seat and the backrest, folds over the edges, slides a little, and comes to rest. The chair does not move. Real-time speed, not slow motion. The camera does not move. No people, no hands, no text, no logos.
Nano Banana Pro に渡した文(最初の場面の画像)
Photorealistic photo, side view at a slight angle in an empty white room with a light wooden floor. One simple wooden chair with four legs and a backrest stands in the middle. A square red cotton cloth, about one meter wide, is in the air above the chair, spread flat and just starting to fall. The whole chair and the cloth are in frame. No people, no hands, no text, no logos.
4. ドミノ倒し

- 条件は、③ 玉が左から当たり、ドミノが左から右へ 1 枚ずつ順に倒れ、全部倒れる、です。
- Gemini Omni Flash(1 / 4): 玉は 1 コマ(1/24 秒)で左のはしまで飛び、0.25 秒から転がり直して 1 枚目に当たりました。玉は倒れかけのドミノの中に入り込み(②)、3.2 秒ごろには倒れて並んでいたドミノが 2 コマのうちに組み変わりました(③)。倒れたあとの面には、立っていたときに無かった点の模様が出ています(④)。
- Kling 3.0(3 / 4): 1 枚目が玉のある左へ倒れ、残りも隣に当たらずに 1 枚ずつ左へ倒れました(③)。
- Runway Gen-4.5(4 / 4): 左から右へ 1 枚ずつ順に倒れました。ただ、カメラが右へ動き続け(17 本の中でこの 1 本だけ)、最初の画像の右の外にあったドミノも写りました。玉は 0 秒から 1 枚目に触れたまま、ほとんど動いていません。
ドミノ倒し(3 本)
3 つのモデルに渡した文(同じ文・4 秒・16:9・下の文で作った画像を最初の場面に)
Side view at a slight angle from above. Ten plain white domino tiles stand upright in one straight line from left to right on a light wooden table, evenly spaced. A small steel ball rolls in from the left and hits the first domino. The dominoes fall to the right one after another, each one knocking over the next, until all ten lie flat in a row. Real-time speed, not slow motion. The camera does not move. No people, no hands, no text, no logos.
Nano Banana Pro に渡した文(最初の場面の画像)
Photorealistic photo, side view at a slight angle from above. Ten plain white domino tiles stand upright in one straight line from left to right on a light wooden table, evenly spaced. A small steel ball is rolling in from the left, just about to touch the first domino. All ten dominoes are clearly visible and in frame. Plain background. No people, no hands, no text, no logos.
5. 5 つの玉の振り子(ニュートンのゆりかご)

- 条件は、③ ぶつかるたびに反対の端の 1 個だけが飛び出し、ほかの玉はほぼ動かない、です。3 本とも × でした。
- Gemini Omni Flash(3 / 4): 玉は最後まで 6 個でした。2 回目は当たった右の玉がはね返り、3 回目のあとは約 0.6 秒すべての玉が止まってから右の玉が出ました。
- Runway Gen-4.5(1 / 4): 0.9 秒から左の 2 個が重なり、1.8 秒ごろ 1 個になりました。左右の端の玉が同時に外へ出る時間もありました。
- Grok Imagine Video 1.5(1 / 4): 当たった玉が隣の玉に重なって 5 個になり、2.5 秒にまた 6 個になりました。右へ出た玉は、放した高さより高く上がりました。
- 文の大きさ(糸 20 cm)なら、玉がぶつかる間隔は約 0.45 秒です。今回は 0.75〜2.4 秒で、3 本ともゆっくりでした。
5 つの玉の振り子(3 本)
3 つのモデルに渡した文(同じ文・4 秒・16:9・下の文で作った画像の左のはしを 30px 切って最初の場面に)
Side view, on a dark wooden desk in front of a plain light gray wall. A Newton's cradle: five identical polished steel balls, each about 3 centimeters across, hang in a straight row from thin strings about 20 centimeters long on a simple silver metal frame. The leftmost ball is released from the left, swings down and hits the row. Only the rightmost ball swings out to the right, swings back and hits the row, and then only the leftmost ball swings out again. This repeats. The three middle balls stay almost still. Real-time speed, not slow motion. The camera does not move. No people, no hands, no text, no logos.
Nano Banana Pro に渡した文(最初の場面の画像)
Photorealistic photo, side view, on a dark wooden desk in front of a plain light gray wall. A Newton's cradle: five identical polished steel balls, each about 3 centimeters across, hang in a straight row from thin strings about 20 centimeters long on a simple silver metal frame. The leftmost ball is pulled out to the left and held up at the moment it is released; the other four touch each other and hang still. The whole frame is in view. No people, no hands, no text, no logos.
6. 漏斗から砂が落ちる

- 条件は、③ 砂が漏斗から下へ落ち続け、山が高く広くなり続ける、です。
- Kling 3.0(3 / 4): 漏斗に砂が残ったまま、太い流れが約 1.7 秒で止まり、山は 1.5 秒から大きくなっていません(③)。
- Runway Gen-4.5(4 / 4): 流れは最後まで続き、山のてっぺんは 4 秒で 74px 上がりました。山が大きくなっても、左の斜面の角度は 31〜33 度のままでした。
- 2 本とも、漏斗の中の砂の高さは最初と最後で変わりませんでした(目で見た高さ。4 項目には入れていません)。Runway Gen-4.5 は山が大きくなっても、漏斗の砂が減っていません。
漏斗から砂が落ちる(2 本)
Kling 3.0 と Runway Gen-4.5 に渡した文(同じ文・4 秒・16:9・下の文で作った画像を最初の場面に)
Side view at table height, in front of a plain dark gray wall. A small glass funnel is held by a black metal lab stand about 30 centimeters above a flat black table. A thin steady stream of dry pale sand falls from the funnel onto the table and builds a cone-shaped pile that grows taller and wider while sand grains slide down its sides. Real-time speed, not slow motion. The camera does not move. No people, no hands, no text, no logos.
Nano Banana Pro に渡した文(最初の場面の画像)
Photorealistic photo, side view at table height, in front of a plain dark gray wall. A small glass funnel is held by a black metal lab stand about 30 centimeters above a flat black table. A thin stream of dry pale sand has just started to fall from the funnel, and a tiny cone-shaped pile of sand is forming on the table. No people, no hands, no text, no logos.
音
音は聞いて確かめていません。ファイルに音が入っているかと、大きさだけを測りました。
- 音が入っていたのは Gemini Omni Flash・Grok Imagine Video 1.5・Veo 3.1 の 9 本です。Runway Gen-4.5 と、音を付けない設定の Kling 3.0 には入っていません。
- 音の大きさ(ラウドネス・LUFS。0 に近いほど大きい)は、Gemini Omni Flash が −35.5〜−24.7、Grok が −55.5〜−23.6、Veo 3.1 が −25.5 でした。聞き比べるときは、上の動画を再生してください。
料金と時間

- 動画 17 本と画像 6 枚で 1,481.0 クレジットでした。1 本(4 秒)は 59.0〜100.0 クレジット、作る秒は Grok の 20.6 秒から Runway Gen-4.5 の 376.5 秒まででした(動画は 2 本ずつ同時に作ったときの秒)。Veo 3.1 は 1 本だけなので、表の合計の欄には入れていません。
- やり直した物と、断られた物はありません。
物理シミュレーションの道具との違い
- 3DCG のソフト Blender のマニュアルでは、「剛体」のシミュレーションは固い物の位置と向きを計算し、形は変えない、と説明されています。「布」は、ほかの動く物や風などの力を受けて動きます。1 コマあたりの計算の回数(Substeps Per Frame)も設定で決めます。
- 今回使った動画生成 AI の呼び出しには、重さや重力の値を渡す設定は無く、文と画像だけで指示しました。その結果、放した高さより高く弾むボールや、数が変わる玉が出ました。
- 動きの正しさが大事な映像は、物理シミュレーションの道具で計算するか、動画生成 AI で作ったものをコマで確かめてから使ってください。
物理らしい動画を作るときのこつ(今回試した分だけ)
今回の文で何本守られたかを数えた結果です。別の書き方とは比べていません。
効いたこと
- 最初の場面の画像を渡す: 17 本とも 0 秒は渡した画像のとおりで、物の数と物差しをそろえられました。数は 15 本で最後まで保たれました。
- 「カメラを動かさない」: 16 本で止まっていました。止まっていると、コマで位置を測れます。
効かなかったこと
- 「現実の速さで、スローモーションにしない」: ボールの重力加速度はばらつき、振り子は 3 本ともゆっくりでした。
- 「弾むたびに低くなる」「反対の端の 1 個だけが出る」: 文に書いても、ボール 0 / 5 本、振り子 0 / 3 本でした。
- 文の中の数と大きさ(10 枚・5 個・10 cm・テニスボールくらい): 画像の時点でずれました。画像を見て確かめてから渡す必要があります。
気をつけること
- 1 本ずつ・4 秒・720p の結果です。 作り直すと結果が変わることがあります。
- 物差しには幅があります。 重力加速度は、文で決めた大きさを物差しにした値で、物差しの取り方しだいで何倍も変わります。水位は目で読んだ値です(しぶきのある間は ±5% ほど)。
- 透かしが入ります。 Google の説明では、Gemini Omni Flash で作った動画には、目に見えない電子透かし(SynthID)が入ります。
- 仕事で使う前に、各社の利用の決まりを確かめてください。
まとめ
- 「動画生成 AI は物理法則を守る?」への今回の答えは、「物の数と形はおおむね守る。落ちる速さ・弾む高さ・ぶつかったあとの順番は守らないことが多い」です(順番と向きは 17 本中 6 本)。
- ボールの見かけの重力加速度は 5 本で 2.2〜10.7 m/s² とばらつき、5 本とも、どこかで前の回より高く弾みました。
- 物理の動きが大事な場面は、自分の文で作ってコマを送り、数と順番を確かめてください。
同じ連載の第 1 回はVFX 映像はつくれる?! 爆発・魔法・変身を動画生成 AI で作ってプロンプトごと公開、同じ文で 5 つの動画生成 AI を比べた結果は動画生成 AI 5 つを同じプロンプトで比較 動き・破綻・1 本あたりの料金にあります。
参考にした公式の情報
- Google AI for Developers「Generate and edit videos with Gemini Omni Flash」
- Google AI for Developers「Video generation」(Veo 3.1)
- Google AI for Developers(Gemini API)の提供終了の一覧(Deprecations)
- Kling AI「Kling VIDEO 3.0 Model User Guide」
- Runway API ドキュメント「Available AI Models」
- Grok の公式ドキュメント「Video Generation」
- Blender 5.2 LTS マニュアル「Rigid Body」(Introduction)
- Blender 5.2 LTS マニュアル「Rigid Body World」
- Blender 5.2 LTS マニュアル「Cloth」(Introduction)
- NIST「standard acceleration of gravity」(標準重力加速度)
- YOBITSUGI AI「料金とシミュレーション」
執筆者
株式会社Game 代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
この記事は、Claude Code を使って執筆しました。画面の画像は、検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
連載
AIで映像を作る