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ハック!でAI

AIを動かす環境とコスト 第6回

自作で脱 SaaS はできる? 作りやすいものと難しいもの

ハック!でAI編集部AIにより執筆読了 約20分
横軸が作る手間、縦軸が法令・外部の契約の重さの地図。上の段にカードの決済や銀行の明細の取得、下の段に社内の一覧や表計算と DB が並ぶ

この記事でわかること

  • 自作しやすいものと難しいものを分ける 2 つの軸
  • 銀行の API を自社で使う条件と料金(2026年10月12日に確認)
  • 作る・動かす・直すで比べる費用の考え方と判断の流れ

確認した環境: 各社の公式の料金ページ・官公庁の公式の情報・編集部(株式会社Game)の社内の記録 / 2026年10月12日に確認

AI のコーディングの道具を使うと、社内で使うシステムを短い時間で作れるようになりました。では、毎月払っている SaaS(インターネットを通して月額などで使うサービス)をやめて、自作に置き換えられるのでしょうか。この記事では、自作しやすいものと難しいものの違いと、費用の比べ方を、公式の情報と編集部の実例で説明します。銀行の口座の明細を API(システムどうしでデータをやり取りする窓口)で取る場合のように、自分でつなぐと SaaS より高くつく例も、公式の料金で比べます。

自作しやすいか難しいかは、2 つの軸で決まる

自作のしやすさは、次の 2 つの軸で考えると整理できます。

  • 作る手間: 画面の数や、処理の量です。AI のコーディングの道具で、この手間は短くなりました。
  • 法令や外部の契約の重さ: 法令で決まった計算や保存のしかた、銀行やカード会社などとの契約や審査です。AI を使っても、この重さは変わりません。
横軸が作る手間、縦軸が法令・外部の契約の重さの図。上の段にカードの決済、本人確認、給与の計算、銀行の明細の取得、大量のメールの配信、会計の帳簿。下の段に社内の一覧・台帳、社内の手順の自動化、表計算と DB、見積書・報告書の PDF、課題・予定の管理が並ぶ
自作しやすいもの・しにくいものの地図。下の段は社内で形を決められるもの、上の段は法令や外部との契約に合わせ続けるもの撮影・作図: 編集部

上の段のものは、作ったあとも、法令の改正や相手の決まりの変更に合わせて直し続けます。下の段のものは、社内の決まりだけで形を決められます。

AI で作りやすくなったもの

画面・表・帳票(見積書や報告書など、決まった形の書類)・社内の手順の自動化は、AI のコーディングの道具で作りやすくなりました。Claude Code の公式のドキュメントによると、作りたいものをふつうの言葉で説明すれば、Claude Code が進め方を考えてコードを書き、動くかを確かめます。Claude Code のあらましは、Claude Code とは?で説明しています。

編集部の例: 表計算と DB を Claude Code で作った

編集部では、社内で使う表計算と DB(データベース)の仕組みを、Claude Code を使って作りました。Git(ファイルの変更の履歴を残す道具)の記録を見ると、最初のコミット(変更の記録)から約 3 時間 40 分で、次のものがそろいました。表計算の本体、型のある表(DB)、外から SQL(データベースを読み書きする言葉)で読む窓口です。

作るの枠に 20:48 の足場から 0:27 の外から SQL で読む窓口までの 8 件、直す・足すの枠に 10月7日 3:39 から 4:19 の 3 件が並び、下に約 3 時間 40 分と書かれた図
表計算と DB の仕組みの Git の記録。10月5日の夜に作り始め、6日の 0 時すぎに SQL で読む窓口までができた。7日に不具合の直しと機能の追加をした撮影・作図: 編集部

作るのは数時間でしたが、2 日後には、セルへの入力が二重になる不具合を直しています。作ったあとの「直す」作業は、あとで費用を比べるときに大事になります。

編集部が自作しているもの、SaaS を使っているもの

左の枠に表計算と DB、課題・予定・文書の管理、契約・請求書・入金の状況、資金繰りの表、見積書・提案書、社員のログイン、会計の記録の写し、毎月の決まった仕訳。右の枠に会計と給与、カードの決済と、それぞれを SaaS にしている理由
編集部が自作しているものと、SaaS を使っているもの。自作は社内で形を決められるもの、SaaS は外部との契約と法令に合わせた計算が要るもの撮影・作図: 編集部

自作しているものの共通点は、画面の形や手順を社内で決められることです。SaaS を使っているのは、会計と給与、カードの決済です。どちらも、銀行やカード会社などとの契約と、法令に合わせた計算や管理が要ります。

作るのが難しいもの: 法令と外部の契約

自作が難しいのは、作る手間が大きいものとは限りません。法令で決まった計算や保存のしかたがあるもの、銀行やカード会社などとの契約や審査が要るものです。代表的な 6 つの分野をまとめました。

銀行の明細の取得、カードの決済、給与の計算、帳簿と請求書、大量のメールの配信、本人確認の 6 行について、自作するときに要ること、もとになる法令・決まり、任せる先を並べた表
作るのが難しい 6 つの分野。自作するときに要ること、もとになる法令・決まり、任せる先を並べた撮影・作図: 編集部

銀行の口座の明細を API で取る

銀行の口座の残高や入出金の明細を、自作の仕組みに自動で取り込みたいことがあります。取り方は、大きく 3 つあります。

道 1 は自社の口座を自社のシステムで見る道で、銀行ごとの審査と契約と開発、料金の例。道 2 はお客さまの口座の情報を扱うサービスを作る道で、財務局への登録と銀行ごとの契約、接続料。道 3 は会計の SaaS の口座の連携を使う道で、SaaS の会社が登録して銀行と契約していることを示した図
銀行の口座の明細を API で取る 3 つの道。自社の口座を自社で見る、お客さまの口座の情報を扱う、会計の SaaS の口座の連携を使う撮影・作図: 編集部

道 1: 自社の口座を、銀行の法人向けの API で見る

自社の口座の情報を API で取れる、法人向けのサービスを用意している銀行があります。公式のページで料金と条件を確かめられたのは、次の 3 行です。

銀行 サービス 料金(税込) 条件
GMOあおぞらネット銀行 銀行API接続 スタンダードAPI(残高照会・入出金明細照会などの 28 種類)は、API の利用料が無償(原則)。オプションAPI は有償で個別見積 同行の法人口座を持つ法人。接続の審査のあと、API の利用の契約。本番の接続まで目安で約 3 か月
PayPay銀行 API連携 契約手数料 100,000 円、月間手数料 10,000 円(2026年8月28日現在) 法人のみ。自社での開発が必要。問い合わせから最短 7 週間
三井住友銀行 Web21 サーバー接続サービス 問い合わせ。前提の Web21 エキスパートタイプは、契約料 55,000 円・月額 22,000 円 自社で使う向けで、事前の審査がある。クラウド会計の会社など、他社のために使う場合は使えない

三菱UFJ銀行・みずほ銀行・りそな銀行などでは、自社のシステムから直接つなぐ場合の料金を、公式のページで確かめられませんでした。PayPay銀行は、問い合わせの状況によっては、自社の口座を見るだけが目的の場合に、導入を受けられないか、時期を調整することがある、と書いています。

道 2: お客さまの口座の情報を扱うサービスを作る

電子決済等代行業には、お客さま(預金者)から頼まれて、銀行から口座の情報を取ってお客さまに渡す営業が含まれます(銀行法 第2条第21項)。登録を受けた事業者だけが行えます(同 第52条の61の2)。

  • 登録の窓口は、主たる営業所を管轄する財務局です。登録免許税は 1 件 9 万円です(登録免許税法)。
  • 始める前に、つなぐ銀行ごとに契約を結びます(銀行法 第52条の61の10)。契約では、利用者に損害が出たときの賠償の分担や、利用者の情報の扱いなどを決めます。
  • 2026年8月31日現在、登録しているのは 124 業者です(金融庁の登録の一覧)。

電子決済等代行業者が銀行に払う API の接続料は、銀行と個別に決めます。編集部が調べた銀行では、GMOあおぞらネット銀行(無償・原則)のほかに、金額を公表しているところは見つかりませんでした。公正取引委員会の「家計簿サービス等に関する実態調査報告書」(2020年4月)には、銀行が交渉の初めに示した接続料の例が書かれています。高額な例では、初期費用数百万円・月額十数万円・1 アクセスごとに数円を示した銀行がありました。接続料を無料にしている銀行もあります。

道 3: 会計の SaaS の口座の連携を使う

会計の SaaS の会社も、電子決済等代行業者として登録しています。金融庁の一覧では、フリー株式会社が第1号、株式会社マネーフォワードが第3号です。利用者は、SaaS の画面で口座を選んでつなぎます。GMOあおぞらネット銀行は、会計ソフトなどのサービスを使うなら、銀行への API の申し込みは要らない、と案内しています。

会計の SaaS の料金と口座の連携は、次のとおりです(どれも税抜。年払いは月あたりの額)。

サービス プラン 年払い 月払い 人数 口座の連携
freee会計 スターター 月 5,480 円 + 従量(年 65,760 円 + 従量) 月 7,280 円 + 従量 3 人 全プランに銀行の同期と自動仕訳。同期できる銀行の口座は 20 まで
マネーフォワード クラウド スモールビジネス 月 4,480 円(年 53,760 円) 月 5,980 円 3 名 インターネットバンキングとの連携・自動仕訳の提案
弥生会計 Next ベーシック 月 4,200 円(年 50,400 円) 月 5,040 円 会計は 3 名 金融機関連携・クレジットカード連携
  • freee会計の従量の料金は、経費精算を使う人数などに応じてかかります。同期できる銀行の口座の数は、プランで違います(スタンダードは 50、アドバンスは 100)。
  • 銀行によっては、法人向けのインターネットバンキングの月額が別に要ります。三菱UFJ銀行では、外部のサービスとつなぐ「APIサービス」の料金は無料ですが、BizSTATION の基本料金(月 1,760 円・税込)が前提です。

直接つなぐ費用と、会計の SaaS の年額を比べる

公表の料金で、銀行と直接つなぐ 1 年目の費用と、会計の SaaS の年額を並べました(どちらも税込)。

横棒グラフ。自社で直接つなぐ費用は、三井住友銀行 319,000 円と API の料金(非公表)、PayPay銀行 220,000 円、GMOあおぞらネット銀行 0 円。会計の SaaS の年額は、freee会計 スターター 72,336 円、マネーフォワード クラウド スモールビジネス 59,136 円、弥生会計 Next ベーシック 55,440 円
銀行と直接つなぐ 1 年目の費用と、会計の SaaS の年額(税込)。直接つなぐ費用は銀行ごとにかかり、開発と直す費用は入っていない撮影・作図: 編集部
  • PayPay銀行と直接つなぐ 1 年目の料金(220,000 円)は、図の会計の SaaS の年額(55,440〜72,336 円)の 3 倍以上です。
  • 三井住友銀行は、前提の Web21 エキスパートタイプの料金だけで、1 年目に 319,000 円です。API の料金は、これとは別です。
  • GMOあおぞらネット銀行のように、API の利用料が無償(原則)の銀行もあります。ただし、銀行ごとに審査・契約・開発が要り、本番の接続まで目安で約 3 か月かかります。
  • 直接つなぐ費用は、つなぐ銀行の数だけかかります。会計の SaaS は、1 つの契約で複数の銀行の口座をつなげます。

自作の仕組みで明細を使いたいときも、銀行と直接つながずに、会計の SaaS の公開 API から読む方法があります。編集部はこの形です(最後の章で説明します)。

カードの決済

割賦販売法の第35条の16は、加盟店を含む事業者に、カード番号等の漏えいの防止など、適切な管理のための措置を義務づけています。経済産業省の説明では、この措置は、クレジット取引セキュリティ対策協議会の「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を実務上の指針とします。要点は、加盟店はカード情報を持たないこと(非保持化)、持つ場合は PCI DSS(カード業界の安全の基準)に準拠することです。

  • 非保持化の意味: 自社で持つ機器やネットワークで、カード情報を「保存」「処理」「通過」のどれもしないことです(ガイドライン 6.1版・2026年3月11日)。
  • 実現のしかた: PCI DSS に準拠した決済代行の事業者の、カード情報が自社を通らない方式を使います。決済サービスの画面に移すリダイレクト(リンク)型と、決済サービスの JavaScript で入力欄を出すトークン型があります。
  • EC の加盟店がすること: カード情報を持つかどうかにかかわらず、EMV 3-D セキュア(カードの持ち主の本人認証)と、次の 5 つの脆弱性対策が求められます。
    • 管理画面のアクセス制限と、管理者の ID・パスワードの管理(多要素認証など)
    • データのフォルダが外から見える設定の不備への対策
    • Web アプリの脆弱性対策(定期的な脆弱性診断など)
    • ウイルス対策ソフト
    • カード番号を機械的に作る手口(クレジットマスター)への対策
左は自作の入力欄でカード番号を受け取り、自社のサーバーから決済サービスへ送る避けたい形。右は決済サービスの画面か入力欄でカード番号を入力し、自社のサーバーは支払いの結果の通知やトークンだけを受け取る非保持化の形。下に割賦販売法とクレジットカード・セキュリティガイドラインの要点
カード番号を自社のサーバーに通さない形(非保持化)。左の形は自社がカード番号を扱うため PCI DSS への準拠が要る。右の形は自社が結果の通知などだけを受け取る撮影・作図: 編集部

決済サービスの手数料は、公式の料金ページに次のように書かれています。

サービス オンラインのカード決済の手数料 月額・初期費用
Stripe 決済が成功するごとに 3.6% 初期費用・月額料金はない
Square オンライン決済(リンク決済など)は 3.6% フリーのプランは月額 0 円
PAY.JP スタンダード 3.3%。ビジネス 2.78%。エンタープライズは Visa・Mastercard が 2.59%、そのほかが 2.7% 月額 0 円・20,000 円・50,000 円(税込)。入金ごとに振込手数料 250 円
KOMOJU 3.25% 初期費用・月額は無料

税込・税抜の書き方は、サービスによって違います。PAY.JP は「プランの月額は税込、カード決済の手数料は非課税」と書いています。ほかの 3 つの料金ページには、税の書き方がありませんでした。

編集部の請求の仕組みは自作ですが、カード払いは、請求のメールのリンクから決済サービスの支払いの画面に移しています。自社のサーバーにカード番号は届かず、受け取るのは支払いの結果の通知です。

給与の計算

給与の計算は、税と社会保険の決まりに合わせて、毎年のように直します。2025年12月から 2027年10月までの主な変更だけでも、次のようにあります。

2025年12月の年末調整の基礎控除の見直しから、2026年の源泉徴収税額表、協会けんぽの保険料率、雇用保険料率、通勤手当の非課税限度額、子ども・子育て支援金、2割特例の終わり、経過措置 70%、社会保険の賃金の要件の撤廃、最低賃金の改定、年末調整の基礎控除の引き上げ、2027年の源泉徴収税額表、本人確認の方法の変更、標準報酬月額の上限、社会保険の対象の拡大までを並べた年表
2025年12月から 2027年10月までの、給与・税・帳簿・本人確認の主な変更。源泉徴収税額表・保険料率・最低賃金などが毎年変わる撮影・作図: 編集部

同じ改正でも、反映する時期が分かれることがあります。令和8年度の税制改正では、基礎控除が最大 104 万円に上がります。国税庁の説明では、2026年11月までの毎月の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で、改正後の額を使って精算します。毎月の源泉徴収税額表が変わるのは、2027年1月からです。

子ども・子育て支援金は、2026年4月分の保険料(5月の給与から天引き)から始まりました。協会けんぽなどの被用者保険では、支援金率は 0.23% で、賞与も対象です(こども家庭庁・協会けんぽ)。

給与計算の SaaS は、こうした改定にサービスの側で合わせると、公式に書いています。マネーフォワード クラウド給与は、令和8年度の協会けんぽの新しい料率について、3月分(4月納付分)から自動で計算すると 2026年2月17日に案内しました。弥生給与 Next は、法令の改正に自動で対応し、子ども・子育て支援金にも対応している、と書いています。

帳簿と請求書

電子帳簿保存法: 2024年1月1日からは、電子取引のデータを、決まった要件で保存します(国税庁の一問一答)。電子取引のデータは、メールなどで受け取ったり渡したりした請求書・領収書などのデータです。

要件 内容
真実性 次のどれか。タイムスタンプを付ける・訂正や削除の記録が残る(またはできない)システムで扱う・訂正や削除を防ぐ事務処理規程を決めて守る
可視性 画面や印刷で見られるようにする。取引年月日・金額・取引先で検索できるようにする。自社で作ったプログラムを使う場合は、システムの概要を書いた書類を備え付ける
保存期間 法人は 7 年(欠損金が出た年度は 10 年)

検索の要件を緩める決まりもあります。2 年前の売上高が 5,000 万円以下で、税務調査のときにデータのダウンロードの求めに応じられれば、検索の要件は要りません。

インボイス制度: 自作の仕組みで請求書を出すときは、適格請求書の記載事項を入れます。記載事項は、発行する事業者の名前と登録番号・取引年月日・取引内容・税率ごとの合計と適用税率・税率ごとの消費税額・受け取る事業者の名前です。消費税の端数の処理は、1 枚の請求書につき、税率ごとに 1 回です。商品ごとに端数を処理して合計するやり方は認められません(国税庁のインボイス Q&A)。

仕入れの側の決まりも変わります。免税事業者などからの仕入れの経過措置は、令和8年度の税制改正で 2 年延びました。そのうえで、2026年10月1日から、控除できる割合が 80% から 70% になりました。帳簿には、経過措置の対象であることを書きます。

大量のメールの配信

メールを送る仕組みそのものは作れます。難しいのは、受け取る側のルールに合わせて、届き続けるようにすることです。Gmail の「メール送信者のガイドライン」は、次のように決めています。

送る人 求められること
すべての送信者 SPF か DKIM(送信ドメインの認証)・送信元の正引きと逆引きの DNS・TLS での送信・迷惑メール率 0.3% 未満
1 日に 5,000 件以上を個人の Gmail アカウントに送る送信者 上に加えて、SPF と DKIM の両方・DMARC(認証に失敗したメールの扱いを決める仕組み)・マーケティングのメールはワンクリックで登録を解除できる

Yahoo(米国)も、大量に送る送信者に、登録の解除を 2 日以内に反映するよう求めています。広告や宣伝のメールは、特定電子メール法で、あらかじめ同意した相手にだけ送ります。同意の記録は、最後に送った日から 1 か月保存し、送信者の名前や、受信を拒否するときの連絡先などを表示します(総務省・消費者庁)。

配信のサービスの料金は、通数に応じて決まります。Amazon SES は、従来の従量課金なら 1,000 通あたり 0.10 米ドルです。SendGrid の日本の正規代理店の料金では、月 5 万通の Essentials 50K が月 3,000 円(税抜)です。

本人確認

金融機関など、犯罪収益移転防止法で決められた事業者(特定事業者)は、決まった方法で本人確認をします。2027年4月1日からは、非対面の本人確認で、本人確認書類の画像や写しは原則として使えなくなります。運転免許証やマイナンバーカードなどの IC チップの情報を送る方法になり、対面の確認でも IC チップの読み取りが必要です(警察庁)。画像を使う方法で作った仕組みは、それまでに方法を変えることになります。

費用は「作る・動かす・直す」に分けて比べる

自作と SaaS の費用を比べるときは、自作の費用を 3 つに分けます。

  • 作る: 設計・作る・試す人の時間、AI の道具の料金、今のデータの移し替え。はじめに 1 回かかります。
  • 動かす: サーバー・DB・バックアップ、外部の API の利用料、ドメインや証明書。毎月かかります。
  • 直す: 不具合や使い勝手の直し、法令や様式の変更への対応、OS やライブラリの更新、担当者が替わるときの引き継ぎ。使い続けるあいだ、ずっとかかります。
左に自作の費用として作る・動かす・直すの 3 段、右に SaaS の費用として移る・月額と年額・合わせるの 3 段が並び、下に比べ方の説明がある図
自作の費用は作る・動かす・直すの 3 つ、SaaS の費用は移る・月額・合わせるの 3 つに分けて比べる撮影・作図: 編集部

AI で短くなるのは、主に「作る」です。「動かす」と「直す」は、作ったあとも続きます。SaaS の側は、料金のページで、月額の中に何が入っているか(法令の改正への対応・口座の連携・サポートなど)を確かめます。SaaS の料金も変わります。たとえばマネーフォワード クラウドは、2027年6月に料金の体系を一部改定する予定だと、料金のページに書いています。

2 つのグラフ。左は直す手間が小さい場合で、オレンジの自作の線が 2 年目の途中で青い SaaS の線を下回る。右は直す手間が大きい場合で、自作の線が 3 年たっても SaaS の線より上にある
累計の費用の考え方。直す手間が小さければ途中で自作の累計が SaaS を下回るが、直す手間が大きいと SaaS を上回ったままになる撮影・作図: 編集部

判断の流れ

ここまでの内容を、判断の流れにまとめました。上から順に答えます。

置き換えたい機能を 1 つ選ぶ、から始まり、1 法令の改正に合わせて計算や様式を直し続けるか、2 外部との契約や審査が要るか、3 社外の人が使う画面があるか、4 直す人と時間を毎月とるのが難しいか、の順に問いが並び、はいなら右の SaaS や外部のサービスへ、すべていいえなら自作の候補へ進む流れ図
自作にするか、SaaS のままにするかの判断の流れ。法令の改正・外部との契約・社外の人が使う画面・直す人の 4 つを順に確かめる撮影・作図: 編集部
  1. 法令の改正に合わせて、計算や様式を直し続けるか: 給与の計算・税・社会保険・帳簿の保存・本人確認など。はいなら、SaaS を使います。
  2. 外部との契約や審査が要るか: 銀行の API・カードの決済・大量のメールの配信など。はいなら、外部のサービスを使い、画面や通知など社内の部分だけを自作します。
  3. 社外の人が使う画面があるか: はいなら、SaaS を続けるか、小さく試します。自作するのは、問い合わせの窓口や、障害のときの連絡まで決めてからにします。
  4. 直す人と時間を毎月とるのが難しいか: はいなら、SaaS を続けます。

すべて「いいえ」なら、自作の候補です。作る・動かす・直すの費用を、SaaS の月額(人数分)と比べて決めます。

SaaS と自作を API でつなぐ(編集部のやり方)

SaaS か自作かは、どちらか一方に決めなくてもかまいません。編集部では、銀行とつなぐ部分と、法令に合わせた計算を、会計・給与の SaaS に任せています。社内で見る表や画面は、SaaS の公開 API でデータを読んで、自作の仕組みで作っています。

銀行・カード会社から口座の連携で会計・給与の SaaS へ、SaaS から公開 API で自作の仕組みへ読み、自作の仕組みから API で SaaS に登録する矢印の図。下に、回数の上限で写しが止まった、同じ支払いを二重に登録した、登録の失敗を見落とした、の 3 つの枠がある
SaaS と自作を API でつなぐ形。銀行の明細は SaaS の口座の連携で取り込み、自作の仕組みは公開 API で読む。下は編集部で実際に起きた 3 つのこと撮影・作図: 編集部

公開 API の回数の上限は、サービスごとに公式のドキュメントに書かれています。freee の会計の API は、事業所とアプリごとに 1 日 3,000 回までです(法人アドバンスは 5,000 回、法人エンタープライズは 10,000 回)。マネーフォワード クラウド会計の API は、アクセストークンごとに 1 秒に 3 回までです。

API でつなぐときは、次の 3 つに気をつけます。どれも、編集部で実際に起きたことです。

  • 回数の上限: 編集部では、全部の記録を取り直す処理を同じ日に何度も動かして、その日の枠を使い切り、写しの更新が止まりました。いまは、その日の残りの回数を見ながら、取り直す間隔を決めています。
  • 二重の登録: SaaS の自動の登録と、API での登録が重なると、同じ支払いが二重になります。登録の前に、同じ日・同じ口座・同じ金額の記録がないかを確かめます。
  • 失敗の見落とし: 一部の登録がエラーで作られていないことがあります。登録のあとに、失敗した件数を必ず数えます。

まとめ

参考にした公式の情報

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この記事は、ハック!でAI編集部が AI を使って執筆しました。画面の画像は、編集部の検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。

連載

AIを動かす環境とコスト
全 6 回の目次
  1. 1サーバーで AI を動かすメリットとは? VPS で使う code-server
  2. 2YES ボタンの押し疲れを減らす。お風呂の間も作業を止めない方法
  3. 3Claude Code のサブスクと API、どちらが得か 編集部の実測で計算
  4. 4クラウド vs VPS。AI の時代に VPS でクラウドは超えられるのか
  5. 5Web はレンタルサーバーで十分。足りなくなる 4 つの場面
  6. 6自作で脱 SaaS はできる? 作りやすいものと難しいもの(この記事)