AIを動かす環境とコスト 第4回
クラウド vs VPS。AI の時代に VPS でクラウドは超えられるのか

この記事でわかること
- 同じくらいの性能の月額と、外への通信の料金の違い
- 任せられる機能と、運用の手間をだれが受け持つか
- 用途ごとの向き不向きと、選び方の流れ
確認した環境: AWS の料金データ(Price List・東京リージョン)/ エックスサーバー VPS・ConoHa VPS・さくらの VPS の料金と仕様のページ / 編集部の VPS で測った値 / 2026年10月12日に確認
Web のサービスや AI の作業環境を置くサーバーは、AWS のようなクラウドでも、国内の VPS でも用意できます。この記事では、2026年10月12日に確かめた公式の料金で、同じくらいの性能の月額、外への通信の料金、任せられる機能、運用の手間を比べます。そのうえで、AI の時代に VPS がクラウドを超える用途と、クラウドが向く用途を整理します。
VPS とクラウドの違い
VPS(仮想専用サーバー)は、1 台の仮想のサーバーを、決まった月額で借りるサービスです。root(管理者)の権限があり、必要なソフトを自分で入れられます。その代わり、OS の設定や更新、セキュリティ対策は利用者の作業です。さくらの VPS の仕様のページにも「サーバー・OSの設定やアプリケーションのインストール、セキュリティ対策などの運用管理もお客さまの作業です」と書かれています。
クラウドは、サーバー・データベース・ファイルの保存先・負荷分散(アクセスを複数のサーバーに振り分ける仕組み)などの部品を、使った分だけ払って組み合わせます。AWS では、サーバーが EC2、データベースが RDS、ファイルの保存先が S3 です。AWS の中にも、サーバー・ディスク・転送量の枠をセットにした月額のサービス「Lightsail」があり、VPS に近い使い方ができます。

同じくらいの性能の月額
メモリが同じプランを、長く契約する割引を使わない料金で比べました。同じメモリなら、VPS と Lightsail は EC2 のおよそ 3〜5 割の額でした。

| メモリ | AWS EC2(ディスク 100GB と公開 IPv4 を含む) | AWS Lightsail | エックスサーバー VPS(1 か月契約) | ConoHa VPS(時間課金の月の上限) | さくらの VPS(東京・毎月払い) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2GB | t3.small・2 vCPU: 33.11 ドル(約 5,745 円) | 12 ドル(約 2,082 円)・2 vCPU・60GB | 1,980 円・3 vCPU・50GB | 2,033 円・3 コア・100GB | 1,958 円・仮想 3 コア・100GB |
| 4GB | t3.medium・2 vCPU: 52.96 ドル(約 9,190 円) | 24 ドル(約 4,165 円)・2 vCPU・80GB | 2,640 円・4 vCPU・150GB | 3,608 円・4 コア・100GB | 3,960 円・仮想 4 コア・200GB |
| 8GB | t3.large・2 vCPU: 92.67 ドル(約 16,081 円) | 44 ドル(約 7,635 円)・2 vCPU・160GB | 5,280 円・6 vCPU・400GB | 8GB のプランはない(12GB は 7,348 円) | 7,920 円・仮想 6 コア・400GB |
| 16GB | t3.xlarge・4 vCPU: 172.10 ドル(約 29,863 円) | 84 ドル(約 14,576 円)・4 vCPU・320GB | 11,770 円・8 vCPU・800GB | 16GB のプランはない(24GB は 14,300 円) | 15,400 円・仮想 8 コア・800GB |
- EC2 は、サーバーの料金とは別に、ディスク(gp3 は 1GB あたり月 0.096 ドル)と公開 IPv4 アドレス(1 時間 0.005 ドル)の料金がかかります。表は、ディスク 100GB と IPv4 アドレス 1 個を足した額です。
- EC2 の t3 は「バーストパフォーマンスインスタンス」という種類です。ふだんは CPU の一部(ベースライン。t3.small と t3.medium は 20%、t3.large は 30%、t3.xlarge は 40%)を使い、足りないときだけ上げます。VPS の vCPU(仮想の CPU)の数とは、そのまま比べられません。
- エックスサーバー VPS の 2GB のプランは、2026年7月14日から新規の申し込みを受け付けていません(10月12日に確認)。比べるための参考の値として載せています。
- 長く契約すると安くなる料金もあります。エックスサーバー VPS は 36 か月契約で 2GB が月 1,265 円、さくらの VPS は年払いで 2GB が月 1,795 円(東京・月額換算)です。さくらの VPS の最低利用期間は 3 か月です。
- ConoHa VPS は 1 時間単位の課金で、1 か月使っても上限(表の額)を超えません。EC2 は秒単位の課金(最低 60 秒)で、止めればサーバーの料金はかかりません。ディスクと、確保したままの IPv4 アドレスの料金は残ります。
VPS の料金も動く
VPS の料金も、ずっと同じとは限りません。

エックスサーバー VPS は、2026年9月1日に全プランの料金を改定しました。公式のお知らせの理由は「世界的なサーバー機器の需要拡大などを背景に、機器の調達コストが大幅に高騰」です。その前の 7月14日には、機器の調達コストの高騰と在庫のひっ迫を理由に、2GB のプランの新規の受付を一時停止すると案内していました。一方、ConoHa は 2026年7月1日に「サービス維持調整費」を廃止し、一部のプランの料金を改定しました。公式の案内では、支払いの総額は「据置、または値下げ」です。
外への通信(転送量)の料金
サーバーからインターネットへ送るデータの量でも、料金が変わります。
- EC2: 「AWS のお客様は、1 か月あたり 100 GB のインターネットへのデータ転送 (OUT) を無料で利用できます」(すべての AWS のサービスとリージョンの合計)。その先は、東京から 10TB までが 1GB 0.114 ドル、次の 40TB が 0.089 ドルです。
- Lightsail: プランに転送量の枠があります(4GB のプランは 4TB)。受信の量も枠に数え、枠を超えた送信だけに料金がかかります。東京は 1GB 0.14 ドルです。
- 国内の VPS 3 社: データ転送量を「無制限」としています。ConoHa VPS は「課金無し、無制限。」と明記し、エックスサーバー VPS とさくらの VPS の料金ページにも、転送量の料金はありません。

| 1 か月に送る量 | EC2(東京) | Lightsail 4GB のプラン | 国内の VPS 3 社(転送量の料金なし) |
|---|---|---|---|
| 500GB | 45.60 ドル(約 7,913 円) | 0 円(枠の中) | 0 円 |
| 1TB(1,024GB) | 105.34 ドル(約 18,278 円) | 0 円(枠の中) | 0 円 |
| 3TB | 338.81 ドル(約 58,792 円) | 0 円(枠の中) | 0 円 |
| 5TB | 572.28 ドル(約 99,305 円) | 143.36 ドル(約 24,877 円) | 0 円 |
任せられる機能(マネージドの機能)
事業者が運用の一部を受け持つ機能を「マネージド」と呼びます。データベース・バックアップ・負荷分散・監視・増やし方を並べました。

- データベース: RDS は「バックアップ、ソフトウェアパッチ、自動的な障害検出、および復旧を管理します」(AWS の公式の説明)。MySQL の db.t4g.micro(2 vCPU・メモリ 1GiB)は東京で 1 時間 0.025 ドル(1 か月 18.25 ドル)です。予備(スタンバイ)を別のアベイラビリティーゾーン(同じリージョンの中で切り離された 1 つ以上のデータセンター)に置く「マルチ AZ」にすると 0.050 ドルです。ディスクは別で、gp3 は 1GB あたり月 0.138 ドル(マルチ AZ は 0.276 ドル)です。
- 増やし方: EC2 Auto Scaling(台数を自動で増減する仕組み)は「追加料金なし」です。動かした EC2 などの料金だけがかかります。
- 国内の VPS: ConoHa VPS は DB サーバー(MySQL・10GB 月 798 円から)、自動バックアップ(100GB 月 363 円から)、ロードバランサー(月 1,210 円)を有料のオプションで用意しています。エックスサーバー VPS は、サーバーをまるごと保存する「イメージ保存」が 50GB まで無料です。さくらの VPS は、無料のサーバー監視(定期的に疎通を確かめる)と、外部の保存先(NFS)の追加があります。
運用の手間は、だれが受け持つかで決まる
運用の手間の差は、どこまでを事業者が受け持つかの差です。AWS の責任共有モデルでは、利用者は「ゲストオペレーティングシステム (更新とセキュリティパッチを含む)」などに責任を持つとされています。RDS のユーザーガイドには、EC2 と RDS で受け持ちを比べた表があります。

VPS と EC2 は、OS から上を利用者が受け持ちます。RDS のようなマネージドのサービスを使うと、データベースの更新やバックアップ、止まらない仕組み(高可用性)を事業者に任せられます。その分の料金がかかります。
AI の時代に変わったこと
AI に頼める作業が増えた
Claude Code の公式の説明には「reads your codebase, edits files, runs commands」(コードを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行する)とあります。サーバーの設定ファイルを書く、コマンドを実行してログを読む、といった VPS の作業も頼めます。編集部でも、VPS の上で Claude Code を動かし、サーバーの設定の変更や、原因の調べを頼んでいます。
たとえば、VPS の OS を新しい版に上げたあと、CDN を通したときだけ 1 つのサイトが開けなくなったことがあります。Claude Code に調べてもらい、Web サーバーの暗号の設定の 1 行が原因だとわかって直しました。直すかどうかを決め、結果を確かめたのは人です。
事業者も AI の入口を用意した
AI のエージェント(AI に作業を任せる道具)から、サーバーそのものを操作する公式の仕組みも出ています。どれも、AI のエージェントとほかの道具をつなぐ共通の決まり「MCP」に対応した MCP サーバーです。
- エックスサーバー VPS: 「XServer MCP Server」。XServer API の機能(VPS の情報の確認、電源の操作、パケットフィルターの設定、OS の再インストールなど)を、MCP に対応した AI のエージェントから実行できます。API は 1 分 60 回までです。
- ConoHa VPS: 「リモート MCP」。サーバーの作成・停止・削除・リサイズ、セキュリティグループの設定などを、自然な言葉で頼めます。
- AWS: AWS が公開する MCP サーバー。AWS API MCP Server は、AWS CLI のコマンドを実行して AWS を操作します。
変わらないこと
AI が作業をしても、責任の範囲は変わりません。VPS や EC2 では、OS の更新とセキュリティパッチは利用者の責任のままです。AI に任せる範囲と確認のしかたは、人が決めます(権限の決め方はAI コーディングの道具を安全に使うで説明しています)。止まらない仕組みが要るときは、RDS のマルチ AZ のような、事業者の機能を使います。

用途ごとの向き不向き
どちらか一方に決めるより、用途で分けて考えます。

AI の作業環境
ブラウザで使うエディタや AI のエージェントは、ずっと動かしておき、メモリを多く使います。編集部の VPS で 2026年10月12日に測ったときは、Claude Code が 26 個動いていて、1 つあたり 163〜589MB、合わせて約 6.3GB を使っていました。メモリを多く積むほど同時に動かせるので、同じメモリなら EC2 より月額が安い VPS が向きます。短い期間だけ試すなら、秒単位で課金される EC2 も使えます。AI をサーバーで動かす利点は、この連載の第 1 回サーバーで AI を動かすメリットとは?で説明しています。
GPU
GPU は、使う時間で比べます。

- AWS(東京)の g4dn.xlarge(NVIDIA T4・GPU のメモリ 16GB)は 1 時間 0.71 ドル、g6.xlarge(NVIDIA L4・24GB)は 1.1672 ドルです(ディスクの料金は別)。GPU を 8 枚積んだ p5.48xlarge(GPU のメモリは合計 640GB)は 68.80 ドルです。
- 国内では、エックスサーバー VPS for GPU(NVIDIA L4・24GB、24 vCPU・メモリ 120GB)が 1 時間 150 円(税込)で、1 か月の上限は 88,000 円です。
L4 を 1 枚、長く使うなら、月の上限がある国内の GPU サーバーが安くなります。GPU の種類や枚数を選びたいときは、種類の多い AWS が向きます。
夜間の一括処理・データベース・急に増えるアクセス
- 夜間の一括処理: すでに動いている VPS なら、夜の空き時間で回せます。大きな処理を短く回すなら、EC2 を使った分だけ払います。たとえば c7i.xlarge(4 vCPU・メモリ 8GiB、1 時間 0.2247 ドル)を 1 日 2 時間、30 日動かすと 13.48 ドルです(ディスクの料金は別)。
- データベース: 止めたくない、運用を任せたいなら RDS です。小さく安く動かすなら VPS の中に置き、更新とバックアップを自分で行います。
- 急に増えるアクセス: Auto Scaling と負荷分散で台数を増やせるクラウドが向きます。VPS は、上位のプランへ自分で変更します。
選び方の流れ

どれを選んでも、バックアップはサーバーとは別の場所にも置きます。S3 の保存は、東京で 1GB あたり月 0.025 ドルです(最初の 50TB まで)。
編集部の構成の例
編集部では、VPS とクラウドを用途で分けています。

- 開発用の VPS: AI の作業環境(ブラウザで使うエディタと Claude Code)、検証用のサイト、社内の道具を 1 台にまとめています。測ったときは、Next.js のサーバーが 36 個動いていました。どれも常に動かすので、月額が一定の VPS に置いています。
- バックアップ用の VPS: 毎晩、ほかのサーバーのデータを集めて世代を分けて保存し、クラウドのストレージ(オブジェクトストレージ)にも写しています。
- AWS Lightsail: 自社の Web サービスの 1 つを、Next.js とデータベースを 1 台にまとめて動かし、前に CDN を置いています。
まとめ: VPS でクラウドは超えられるか
- 料金: 決まった規模で長く動かすなら、VPS は EC2 のおよそ 3〜5 割の月額で、転送量も「無制限」です(回線の速さには上限があります)。この点では VPS がクラウドを超えます。
- 任せられる機能: データベースの運用、台数の自動の増減、GPU の種類の多さは、クラウドが上です。
- AI の時代: AI が設定やコマンドの作業を手伝うので、VPS の手間は減りました。ただ、OS の更新やバックアップの責任は利用者に残ります。
VPS とクラウドは、用途で分けて組み合わせられます。次の回のWeb はレンタルサーバーで十分。足りなくなる 4 つの場面では、Web のサイトによく使われるレンタルサーバーで足りなくなる場面を説明します。
参考にした公式の情報
- AWS「Amazon EC2 オンデマンド料金」
- AWS Price List(料金データの一覧。EC2・RDS・S3・Lightsail・データ転送の東京の値)
- AWS「Amazon Lightsail の料金」
- AWS「Amazon Lightsail よくある質問」
- AWS「Amazon RDS for MySQL の料金」
- AWS「Amazon S3 の料金」
- AWS「Amazon EC2 Auto Scaling の料金」
- AWS「責任共有モデル」
- Amazon RDS ユーザーガイド「Amazon RDS とは」
- Amazon RDS ユーザーガイド「マルチ AZ DB インスタンスのデプロイ」
- AWS「リージョンとアベイラビリティーゾーン」
- Amazon EC2 ユーザーガイド「バーストパフォーマンスインスタンスの主要な概念」
- AWS「Amazon EC2 G6 インスタンス」
- AWS「Amazon EC2 G4 インスタンス」
- AWS「消費税率変更についてのよくある質問」
- Open Source MCP Servers for AWS
- エックスサーバー VPS「料金・仕様一覧」
- エックスサーバー VPS「機能一覧」
- エックスサーバー VPS「利用料金の改定について(2026年9月1日実施)」
- エックスサーバー VPS「2GBプランの新規受付停止および一部提供内容の変更のお知らせ」
- エックスサーバー VPS「GPUサーバー」
- ConoHa VPS「料金・スペック」
- ConoHa VPS「MCP(リモート版)」
- ConoHa「サービス維持調整費」廃止のご案内
- さくらの VPS「料金・仕様」
- 税関「外国為替相場(2026年10月11日〜10月17日)」
- Claude Code ドキュメント「Overview」
この記事は、ハック!でAI編集部が AI を使って執筆しました。画面の画像は、編集部の検証環境で実際に操作して撮影したものです(引用の画像は出典を記載しています)。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。
連載
AIを動かす環境とコスト全 6 回の目次
- 1サーバーで AI を動かすメリットとは? VPS で使う code-server
- 2YES ボタンの押し疲れを減らす。お風呂の間も作業を止めない方法
- 3Claude Code のサブスクと API、どちらが得か 編集部の実測で計算
- 4クラウド vs VPS。AI の時代に VPS でクラウドは超えられるのか(この記事)
- 5Web はレンタルサーバーで十分。足りなくなる 4 つの場面
- 6自作で脱 SaaS はできる? 作りやすいものと難しいもの